NECは12月4日、データセンター向けに、消費電力の削減を実現する相変化冷却ユニットを発表した。
同製品は、サーバの排熱を効率的に移動させる冷却装置を、ラック背面ドアに装着するものである。具体的には、NEC中央研究所が開発した相変化技術を採用し、冷却装置内の冷媒が、気化する際に熱を奪う原理によりラックの排熱を回収して、浮力により配管を通り室外へ移動する。さらに、気化した冷媒は室外で熱を放出して液化し、重力で室内へ戻るため、電力を使わずに自然循環する。また、ラックリアドアの受熱部を多段に構成し、最適な流路設計を行うことでラック内のサーバごとの発熱量にばらつきがあっても冷却ムラを防ぎ、ユニット全体で高い排熱回収率を実現する。これにより、冷却に必要な電力を従来比で30%削減できる他、一般的なシステムでは排熱の約50%を電力を使わずに室外へ運び出すことができるとしている。
また、既設の一般的なラックに取り付けることにより冷却効率を向上させるため、既設の全体空調設備を強化することなくサーバ増設を行い単位面積当たりの処理能力を高めることが可能。HPC用途や同社の「Cloud Platform Suite データセンターパッケージ」に代表される高密度サーバの導入時の採用にも最適となっている。この他、環境に配慮した安全性の高い冷媒を採用しているのに加え、循環系には機械的・電気的可動部がないため定期的なメンテナンスが不要である。
なお、価格はラック当たりの発熱量が30KW向けのTYPE-Aが800万円(税抜き)から、同15KW向けのTYPE-Bが550万円(税抜き)からとなっている。12月26日より出荷を開始する。