リクルートライフスタイルは11月27日、無料POSレジアプリ「Airレジ」がリリース1周年したことにあわせ、新アプリ「Airウェイト」と「Airリザーブ」を公開した。
Airウェイトは順番待ち管理アプリ。行列ができるお店などの店頭でこのアプリを利用することで、順番待ちを行うユーザー管理とユーザーの待ち時間活用に繋げられる。
紙の受付票と同様の使い勝手を実現したとしており、店員1人の対応で、来店受付から案内まで行えるという。また、順番待ち状況を利用者がどのような場所でも確認できるため、待ち時間を有効活用でき、行列による離脱や再来店意向の向上につながるとしている。
4月から「俺のフレンチ」などの人気レストランや「ガスト」など計15店舗、1万7000人の顧客を対象とした実証実験では、60%以上が「Airウェイト」の顧客体験によって再来店を希望する結果に繋がったという。
Airウェイトは利用者がタブレット上で人数や席配置の希望などを打ち込める。備考には簡単なコメントもできるため「禁煙/喫煙」といった要望も行える |
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店員はそれぞれの番号をスワイプするだけでステータスの変更ができる |
レシート発券機により、ユーザーのスマートフォンで通知を受け取れる |
Webサイト上で現在の待ち組数などを確認できるが、ユーザーが希望すれば通知メールを受け取れる |
一方の「Airリザーブ」は、店舗サイトやブログ、SNSなどと簡単に連携できる予約管理システム。店舗サイトでは「予約」ボタンのリンク設定、SNSでは予約URLを投稿するだけで、ネット上での予約受付が容易になる。
予約システムはクラウドで提供されるため、24時間稼動のシステムで店舗の「予約数の最大化」に貢献するという。時間×人数枠を設定するだけで予約管理が容易に行えるため、ヨガ教室やフィットネスクラブなどの「レッスン」「スクール」「からイベントやセミナー、歯科・診療所、貸し会議室など、幅広い業態の幅広いニーズに対応できる。
どちらのアプリ・サービスも現時点で無料で利用できる。なお、Webサイト上では「今後新たに追加される一部機能やサービスは有料でご提供させて頂く場合がございます」との案内がある。
1周年は想定以上の伸び
リクルートライフスタイルは同日、記者会見を開き、同社 執行役員の大宮 英紀氏とネットビジネス本部 渡瀬 丈弘氏、同本部 弓場 央嗣氏が登壇した。
初めに大宮氏はサービス群の起点となった「Airレジ」の現況について紹介。3月の時点で目標を大きく上回る登録アカウント数4万件を突破していたが、その後も順調に成長を続けており、今年度末目標だった10万件を4カ月以上前倒しで達成したという。なお、年度末目標の再設定は「具体的な数字は公開できない」とした。
Airレジが支持される理由について大宮氏は無料で利用できる上に、普段から使っているスマートデバイス上でシンプルな操作を実現している点を挙げる。
それに加え、社内のサービス連携だけではなく、クラウド会計ソフトの「freee」や「マネーフォワード」「弥生」をはじめ、10にものぼる他社サービス・アプリとの連携も果たしている。
「キャッシュドロワーやレシート発券機などと連携もできるため、Airレジだけでレジ作業が完結できる。また、これまでのPOSレジは一度導入すると機能を追加することは難しかったが、Airレジはアプリの更新やクラウド連携により、機能を追加できる」(大宮氏)
Airレジでも予約管理機能やリクルートグループ内の予約サービス連携は可能だったが、「リザーブは飲食店にとどまらず、様々な業種でお使いいただける」(渡瀬氏)というコンセプトのもとに作られた。
「多くのお店で紙予約が多い現状がありますが、それは電話予約が多いから。一連の流れをネットに移すことで、予約情報の一元管理も容易になります」(渡瀬氏)
Air◯◯の今後の展開は?
会見後の質疑応答では、全て無料で提供するというリクルートの規模を活かしたビジネスモデルから、どのようにマネタイズへと繋げていくかについて質問が及んだ。
大宮氏は「利用者数を最大化することが大事。将来的にお金を頂く可能性も十分にあると思う」と話す。ただ、Airレジ自体を有償化するのではなく「Air◯◯といった別のアプリを利用していただく際に、収益化を果たすといった考え方もあると思う」と語り、ある程度の収益化への道筋をつけているようだった。
また、外部連携サービスの一部である「Square」が日本を含むグローバルで「Squareレジ」の展開を発表。連携関係に影響はあるかと尋ねたところ、「私達の協業は、カード決済の部分だけ。関係性に影響はないと考えている」(大宮氏)とした。
また、POSレジとは関係性が薄い小規模飲食店をメインに広がりを見据えているAirレジだが、Airウェイトでは、「俺のフレンチ」や「ガスト」「松坂屋」といった有名店、大規模チェーンにおける実証実験を行っていた。こういった大規模チェーンにも営業攻勢を強めるかについて弓場氏は「俺のフレンチなど、リクルートライフスタイルの他サービスで接点があるお客様に対しては、課題解決に協力していただくという形で紹介をしていただいた。グループのアセットを活用して、ご利用いただけるところには導入を進めていきたいと考えている。ただ、そういったお客様は現状のPOSシステムを大規模に導入しているところが多い。強引に押し付けるのではなく、AirウェイトやAirリザーブといった個別のアプリ・サービスを導入していただくような御案内をしていきたいと考えている」と話していた。
レジの存在を必要とする中小企業は全国に310万社存在すると大宮氏。
「Airレジは、それらの企業と人、サービスとサービス、デジタルとデジタルをつなぐ第一歩」とのことで、Airレジをハブとした小売業の課題解決を進めていく考えだ。