沖縄県といえば、日本有数の観光地。本州などのいわゆる「本土」から遠く離れていることもあり、同じ日本でありながら気候や文化の違いから、魅力を感じる人も多いのではないだろうか。今回、リクルートが提供するiPadのPOSシステム「Airレジ」とリクルートポイントのアプリ「Airウォレット」を利用した観光の実証実験について沖縄で取材を行なった。

沖縄県は、観光客数が堅調な伸びを見せており、2013年度は658万人に達した。これは、リーマンショック前の593万人を大きく上回っており、前年比でも11.1%の成長だ。

しかし、沖縄県 文化観光スポーツ部観光政策課の山川 哲男氏は「2021年度の観光客目標数1000万人へ向けて350万人ほど足りない。地道に努力を続けていくものの、観光客の満足度向上といった受け入れ体制の充実など課題は色々ある」と語る。

例えば、外国人観光客。前年から24万人増の62万人に絶対数が増加した一方で、日本全体では835万人から1036万人とこちらも大幅な訪日観光客数増加となっており、相対的なシェアは伸びていないが実情だ。

「外国人へのPRはいくつか課題がある。例えば観光案内サイン。東京都内でも「KOKKAIGIJIDO MAE(国会議事堂前)」と地下鉄に書いてあっても、外国人にはなんの場所かわからないだろう。そこで、観光エリアにはわかりやすく英語のサインを設置して、行き方や道を分かりやすく説明することに力を入れている」(山川氏)

ほかにも、外国通貨を換金する場所が少なかったり、英語を話せる人の少なさ、クレジットカードが使えない小規模店舗の多さなど、細かい課題を少しずつ解決していくことの重要性を説いた山川氏。しかし、一番大きな問題は「沖縄」という日本のリゾート地を知ってもらう「ブランディング戦略」が弱かった点だという。

「国内向けには『やっぱりいいね沖縄』というブランディング戦略を行なってきましたが、外国人向けにもしっかりとしたブランド展開を打ち出す必要があった。そこで私たちは2013年から『BE OKINAWA』というキャッチコピーのもとに、沖縄を対外広報をしようとしています」(山川氏)

課題は多岐に渡る

沖縄県 文化観光スポーツ部観光政策課 山川 哲男氏

もちろん、沖縄県の観光客の多くは国内需要で、1972年の日本復帰から42年で10倍以上の伸び率を示している。特にここ数年は、航空運賃の自由化やLCC就航に代表される旅行商品の低価格化で、観光需要は旺盛だ。「国内旅行で、本土の中で大量輸送の代表格である鉄道は移動距離が伸びれば伸びるほど、駅やレールを引く用地の費用がかかる。しかし、飛行機は空港と空港があれば、航空機とガソリン代だけあればいい」と、離島環境が観光にプラスであることを強調する。

2020年には沖縄空港が拡張される予定で、基礎インフラの整備は一通り終わるという。課題は、ホテルなどの受け入れ体制の二次整備。

「1人あたり消費額は滞在日数と連動しているが、昭和62年が5.0日の平均滞在日数だったのに対して直近は3.8日前後と、2泊3日が主流になりつつある。それに比例して消費額も減少傾向にあって、2006年に7万1580円だったものが2012年には6万7494円と約4000円落ちた。特に宿泊費が2006年に2万4241円あったものが1万8310円まで低下している」(山川氏)

お土産は微減にとどまっており、交通費や食費は伸びているか現状維持だというが、2021年度の観光客数目標1000万人とあわせて、掲げている「観光収入1兆円」を達成するためには、それぞれの数字を伸ばす必要がある。

「2012年度の観光収入は3996億7400万円で、1兆円には遠く及ばず、現在の状況では観光客数を1000万人まで伸ばしても、7000億弱と遠く目標に届かない」(山川氏)

1人あたりの消費額を10万円まで上昇させるためには、どうすれば良いのか。今年度は観光事業の一環として「土産物」の対策を行なっている。どういった商品を観光客が求めているかニーズ調査を行ない、売れる物を精査したという。これは、消費者側だけでなく、サプライヤーのヒアリングも同時に行なって何が売れているかという情報の下地を固めている。沖縄の土産物は現在、いくつかの決まった定番商品にばかり売れ行きが集中していると現地の販売店も取り組みに試行錯誤しているところで、新たな目玉商品を作り出すことで、消費額の上積みを目指すという。

宿泊費の向上のためには

また、大きな消費額の落ち込みが見られる宿泊費についても対応策はある。

「沖縄県に限った話ではないが、シーズンによって宿泊単価の上げ下げがあり、リゾートホテルであっても年間通して安定しているわけではない。それに沖縄本島でも、中部地方は客室単価が安定しているのに対して、那覇市内では夏場でも単価の伸び悩みが見られる。そこで、沖縄県として出来ることは"周遊型観光"の提案。例えば、渡真利や渡嘉敷、座間を観光してもらい、翌日に那覇の首里城、南部の戦跡巡りといった、沖縄県の一部分に偏った観光ではない周辺離島を含めたパッケージプランの提案が重要だと考えている」(山川氏)

周辺離島を含めた旅行提案は「アイランドホッピング」として海外で認知されている。本来は、短い旅を繰り返しながら、大洋を渡る旅行を指すが、「沖縄には多くの離島がある。それぞれにさまざまな特色があり、観光客に体験していただいてリピーターを増やしたい」という。

これは、観光閑散期の観光客需要掘り返し施策としても非常に有効で、久米島の「久米島ホタル」は、かつて民宿のおばあちゃんがやっていたホタルの観光案内をパッケージ化して現在は売り出している。ほかにも幻の花とも言われる朝に花が咲く「サガリバナ」の観光ツアーや夜の漁といった必ず宿泊しないと見られないモノをパッケージにすることで滞在期間の長期化や単価の上昇を図っている。

山川氏は特に「観光閑散期ではあるが、オススメの時期は6月」とアピール。「沖縄では一足早く梅雨が明けるから、からっとしていて過ごしやすい気候になっている。漁港がある市町村、例えば糸満などでは「ハーリー」というお祭りがある。夏だけではなく、年間を通して沖縄を知ってもらえれば」と話した。

観光O2O施策では、1000円分のリクルートポイントをアプリ利用者に提供している

IT活用で、消費額の上積みを

また、最後にはITを活用することに対する期待感も口にした。

「観光客のために、クレジット決済サービスなどの対応が重要と話したが、そこを拡充するためにも、簡易的なPOSレジの導入は必要。今回リクルートさんが、観光O2O施策をやってくださっているが、決済サービスの提供という一面的な話だけではなく、ポイントサービスの連携を通して、首都圏で貯めたポイントを観光地で使ってもらえるというメリットがあるのは大きい。貯めたポイントの消費と、現金だけの消費では、消費額は大きく異なる(上昇する)というデータもある。首都圏で貯めていただいて、観光地で利用して欲しい」と、笑いながら山川氏は語っていた。