Xilinxは11月17日(現地時間)、FPGAを利用してデータセンターアプリケーションの1W当たりの性能を最大25倍向上するOpenCL、C、C++用開発環境「SDAccel」を発表した。
「SDAccel」は、ターゲットとなるFPGAのアーキテクチャに合わせて最適化できるコンパイラを実装しており、CPUまたはGPUと比べて最大25倍まで1W当たりの性能を向上させ、他社のFPGAソリューションに比べて、3倍の性能およびリソース効率を実現する。また、多くのプログラマが活用している基盤コンパイラ技術を利用しており、コンピュータによる検索、画像認識、機械学習、トランスコーディング、ストレージ圧縮、暗号化などの幅広いデータセンターアプリケーションにおいて、高性能のアクセラレータや、最適化されたメモリ、データフロー、ループパイプラインを生成するための新規または既存のOpenCL、C、C++コードを活用できる。
さらに、使い慣れたワークフローでアプリケーションを最適化でき、FPGAの経験がない開発者でもFPGAプラットフォームを利用できる。また、統合設計環境(IDE)は、コーディングテンプレートとソフトウェアライブラリを備え、x86上のエミュレーション、高速シミュレーションを使った性能検証、FPGAプロセッサ上のネイティブな実行などの幅広い開発対象に対して、コンパイル、デバッグおよびプロファイルを可能にする。そして、サポートされる全てのターゲットボードに合わせて必要な回路を自動挿入し、データセンター用FPGAプラットフォーム上でアプリケーションを実行する。加えて、OpenCL、C、C++コードを使い慣れたワークフローで保守および再利用しながら、アプリケーションを容易にFPGAに移行できるように設計されているという。
なお、「SDAccel」は、データセンター用の汎用市販(commercial off-the-shelf:COTS)プラットフォームと、プログラマ用のIDE、そしてFPGAに最適化されたCベースのライブラリの主に3つで構成されている。「SDAccel」ライブラリには、高性能低消費電力インプリメンテーションのためのOpenCLビルトイン、DSP、ビデオ、線形代数ライブラリが含まれる。分野特有の高性能化のためには、OpenCVおよびBLASの最適化されたOpenCL互換ライブラリが、同社のアライアンスメンバーであるAuviz Systemsから入手できる。2015年初めには、COTSメンバーであるAlpha Data、Convey、Pico Computingなどから、さらに多くのライブラリが追加される予定。
この他、複数のプログラムから構成される大規模なアプリケーションをサポートし、かつCPU/GPUのようにオンデマンドでロード可能な演算処理ユニットをサポートできる。また、CPU/GPUのようにシステムを機能させたままプログラムを切り替えることができる。さらに、アプリケーションを中断することなく新規のアクセラレータカーネルをロードできるFPGAベースの演算処理ユニットを生成することが可能である。これらにより、アプリケーションの実行中、メモリ、Ethernet、PCIe、パフォーマンスモニタなどの重要なシステムインタフェース、および機能はそのまま保持される。そして、動的に再構成可能な演算処理ユニットを実行することで、FPGAアクセラレータを複数のアプリケーション間で共有できる。例えば、画像検索、ビデオトランスコーディング、画像処理を逐次切り替えるよう運用システムをプログラムできるとしている。