アルマ望遠鏡は11月6日、惑星誕生の現場を史上最高の解像度で撮影したと発表した。

同望遠鏡のように、複数のパラボラアンテナを結合させて一つの望遠鏡とする「電波干渉計」では、アンテナの間隔を離せば離すほど解像度(視力)が向上する。2014年10月24日、アルマ望遠鏡は過去最大のアンテナ展開範囲15kmで試験観測を行い、観測対象には地球から約450光年の距離にある星で、比較的若い「おうし座HL」が選ばれた。この時の解像度は、史上最高の0.035秒角(角度の1度の約10万分の1)で、人間の視力に換算すると2000になるという。

アルマ望遠鏡が観測した「おうし座HL」(C) ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)

今回の観測で撮影された「おうし座HL」の画像には、星のまわりに同心円状の塵の円盤が幾重にも並んでいるようすがくっきりと写し出されていた。生まれたばかりの星のまわりには画像のような円盤があり、1千万年以上の時間をかけて円盤内の物質が衝突合体を繰り返して惑星が作られると考えられている。

画像では、「おうし座HL」を取り囲む円盤に少なくとも3本のはっきりした隙間があることがわかる。こうした隙間は、円盤の物質を掃き集めながら大きな惑星が成長しつつある証拠だと推測されるが、100万歳に満たないほど若い星の周囲で大きな惑星が形成されつつあるというのは、これまでまったく想定されていなかった。

惑星形成の研究者でもある林正彦 国立天文台長は「惑星系ができていくようすが手に取るように見てとれる画像が、こんなにも早くアルマ望遠鏡で観測できるとは思っていなかった。次はいよいよ宇宙における生命の兆候の発見に向かう」とコメントしている。