Texas Instruments(TI)は10月24日、価格の上昇やハード/ソフトウェアの設計変更なしでシステム性能を倍増させる「C2000」Piccolo「F2807x」マイコンを発表した。

同製品は、「C28x」CPUと複数のアクセラレータの強力な組み合わせを統合しており、通信用整流装置、サーバ電源、ソーラー用マイクロインバータ、周波数インバータやハイブリッド車/電気自動車(HEV/EV)の制御装置などの産業用アプリケーションにおいて、複数の制御タスクの実行を高速化する。また、「F2807x」マイコン製品は、数多くのアナログや制御用のペリフェラル群を提供し、より高い統合性の制御アプリケーションの実現を可能にする。そして、これらの製品は、先に発表された「C2000」Delfino「F2837xS/xD」マイコン世代の製品との間に、互換性とスケーラビリティを提供する。

さらに、リアルタイム制御補償器アクセラレータ(CLA)を活用できる。CLAは「F2807x」マイコンのスループットを倍増させ、120MHzの浮動小数点処理能力を追加する。これにより、数値演算を多用するタスクや短い処理時間が重要な信号処理タスクの並行処理ができる。これらのタスク処理負荷をCPUからCLAに移すことで、CPUを診断や通信、モーションプロファイリング、その他の一般的なシステムタスクに集中させることができる。また、「C28x」メインCPUに統合された三角関数演算ユニット(TMU)アクセラレータによって、変換や制御機能に多用される各種の三角関数のアルゴリズムを高速で実行できる。

加えて、デジタル電源のあらゆるトポロジをサポートする、強化されたパルス幅変調器(PWM)をはじめとした、ハイエンドのスマートアナログと制御機能を搭載し、デジタル制御システムの簡素化に役立つ。3個の12ビットA/Dコンバータ(ADC)は、3相モータの電圧・電流のモニタリングをしながら、高い周波数のリゾルバのフィードバックを同時にデコードするなどの、同時タスクの実行が可能なことから、サンプリングのスループットを向上する。さらに、「F2807x」マイコン製品は、それぞれスレッシュホールドコンパレータと、同社の「AMC1204」絶縁型デルタ-シグマ変調器とのシームレスなインタフェースを備え、電流と電圧の絶縁計測が可能な、8個のデルタ-シグマ変調チャネルを同時に処理できる。また、複数のウインドウコンパレータは、パワーステージの保護を提供する。

なお、全機能内蔵の「C2000」Piccolo「F2807x」32ビットマイコン「TMX320F28075」はサンプル出荷中。量産バージョンの「F28075」と「F28074」マイコン「TMS320F28074」の価格は、1000個受注時で9ドルから。Piccolo「F2807x」マイコン製品の評価に使用できるエクスペリメンターキットドッキングステーション「TMDXDOCK28075」は189ドル、またモジュール型式のcontrolCARD「TMDXCNCD28075」は129ドルとなっている。

価格の上昇やハード/ソフトウェアの設計変更なしでシステム性能を倍増させる「C2000」Piccolo「F2807x」マイコン