ネットアップは9月30日、VMware Virtual Volume(以下、単にVVOLと呼ぶ)への対応状況を説明した。
VVOLは、仮想化でのSAN/iSCSI環境において(NFSにも対応)、vSphere上で管理する仮想マシンとストレージ上でのLUNの管理単位が一致していないため、LUN単位のリストアを行うと、すべてのVMが過去の状態に戻ってしまう課題を解消するテクノロジーで、現在、ベータプログラムが提供されている。
またLUN単位の管理では、ある仮想マシンがSANストレージのリソースを大量消費してしまった場合、同一LUN上に配置している仮想マシンに対しても性能問題が波及してしまうという課題もあるという。
VVOL対応のストレージを利用すると、1VMDK=1オブジェクト(LUN)の管理形態が導入でき、VM単位のQoSを効かせることもできるため、これらの課題を解決する。VMに対して、どのようにオブジェクトをひもづけるかは、各ストレージベンダーに任されており、スナップショット、クローンの動作や作成、QoS、DR、レプリケーションなどの性能は各社のストレージ機能に大きく依存するという。
ネットアップ システム技術本部 テクノロジーSE部 シニア システムエンジニア 大西宏和氏は、「同じ操作でも製品ごとに実行時間、性能が異なることも考えられるので、VVOLを利用する場合、それを見極めることが成功のポイントです」と指摘した。
ただ、NFSにおけるVM単位のストレージ管理については、ネットアップはNFS DataStoreで5-6年前から実装しており、VVOLとコンセプトが一緒なため、実績がある動作だと、同氏は自社技術に自信を見せた。
ネットアップのVVOLの実装では、VMを作成するとVMにひもづいたVMDKファイルがFlexVolume上に自動的に作成され、vSphere上でVMのクローンが作成されると、VMDKファイルのクローンも作成されるが、このときには同一ブロックを再利用して作成するため、高速にクローンが作成できるという。
ネットアップのVVOL実装や管理については、Virtual Storage Console for VMwareで、vSphere(vCenterプラグイン)機能に統合され行えるという。
なお、ネットアップではVVOLのベータが提供された6月より以前の、2014年4月にリリースしたストレージOS「Clusterd DataONTAP 8.2.1」ですでに実装されている。
大西氏は「開発スピードは他社に比べかなり早い」と述べ、その理由として、ネットアップがVVOLの仕様を決めるデザインパートナーになっている点を挙げた。
なお、ネットアップでは、8月のVMworldでVVOL機能をデモしており、その様子はYoutubeで公開されている。