電通と電通国際情報サービスは、さまざまな角度から同時に撮影した動画コンテンツを、ユーザー自身が自由にアングルを切り替えて楽しむことができる多視点動画配信ソリューション「VIXT(ビクスト)」を開発し、9月19日~9月21日まで、グランフロント大阪北館 ナレッジキャピタル 2F ザ・ラボ アクティブスタジオ(大阪)に、期間限定で体験できるスペースを設けると発表した。

「VIXT(ビクスト)」配信動画のWebブラウザによる再生。メイン動画の下にある小さな画面をクリックすれば、カメラアングルを変更できる

これまで視聴者には、編集され完成された1種類の映像(完パケ)が提供されてきたが、VIXTでは、さまざま角度から複数のカメラで撮影された映像が合成して配信され、視聴者は、任意の時点で好きな映像に切り替えて視聴できる。

これにより、サッカーの試合をミッドフィルダー視点で見たり、コーチ視線で見ることや、アイドルグループのライブ映像を、あるアイドルだけを追い続けるといった視聴もできる。このため、通常、再視聴率は回数が増えるにしたがって落ちていくが、さまざまな角度の異なった映像の視聴を可能にすることでそれを抑えることができ、コンテンツのライフタイムバリューを高めることができる。

また、教育、医療、セキュリティ分野では、角度を変えて何回も見ることによって、新しい気づきや発見を促すことができるメリットもあるという。

VIXTの狙いを、電通 マーケティングデザイン局 コンサルティング部 副主任研究員 志村彰洋氏は、「VIXTによって、ユーザーは指揮者になって、コンテンツをタクトを振るように自由にハンドリングできるようになります。そうなれば、サービスがユーザー主導で自然発生的に変容したり、広告のあり方もドラスティックに変化していきます。現在の編集済みの完成されたコンテンツは誰が見ても同じもので、何1つ変わりません。そこに変革できるチャンスがあります。キ-ワードは『完パケ提供からの解放』です。これまで提供する内容は、提供する側が一方的に押し付けてきましたが、VIXTでは、カメラ視点の選択権をユーザーに解放します」と説明した。

VIXTの狙いは、指揮者のように自由に動画をハンドリングできるようにすること

VIXTでは、サーバから配信された映像をアプリではなく、Webブラウザで視聴できる。そのため、PCのほか、タブレットやスマートフォンなど、マルチデバイスに対応する。また、ユーザーが、動画の任意の場所でブックマークして、コメントを入力できる「ピン」機能や、自分のオススメの視点を公開できる。そのため、アーティストが自分のオススメの視点でライブ映像を公開することも可能だという。

VIXTはマルチデバイスに対応

画面の下には帯状に、どのカメラアングルを選択したのかが色分けして表示され、任意の場所でブックマークして、コメントを入力できる

そのほか、時間帯別にどのアングルが人気かを判断できる「アングル別視聴率」も提供され、ユーザー属性と組み合わせ、女性に人気のアングルなどを分析することもできる。

右下の図がカメラアングル。カメラの位置が色別で表示されている。その上のグラフが「アングル別視聴率」で、どのアングルのカメラが人気が高いかがわかる

なお両社は、多視点動画配信に用いる複数視点の合成手法および視点切り替え手法について、日本国および海外で特許出願中で、また電通は、多視点動画における有益な広告配信手法について、日本国および海外で特許出願中だ。

電通と電通国際情報サービスはこれまで、テレビやインターネットをはじめとする広告映像、映像を用いたイベント演出や製品・サービスの紹介など、映像に関わるビジネスに深く携わってきた。ただ、近年のテクノロジーの進化に伴い、映像は生活者にとってより身近なものとなり、その配信、視聴の形態も多様なものへと変化してきている。そこで両社は、映像の「撮影」「編集」「記録」「配信」「視聴」の各フェーズを統合的に捉え直し、インターネット環境下で、新しい映像体験を創造するプロジェクトを開始。VIXTの提供は、その第一弾となる。

志村氏はプロジェクトの目的を、「カメラの視点を変えるだけで、多様な選択肢を提供できます。我々は、このプロジェクトによってコンテンツ自体とコミュニケーションしたいと考えています。ユーザーが視点を変え、手を加えることでそれが架け橋になり、その裏にある統計的なデータが新しい出会いをもたらします、我々は、このプロジェクトを映像配信のすべてを変えるという意気込みでやっていきたいと思っています」と語った。

カメラの視点を変えるだけで得られる多様な選択肢

両社は、今後他のプレイヤーと「VIXT」を作り上げていくため、パートナーを募っていくという。

なお、体験会場では、来場者が東京パフォーマンスドールの多視点配信動画をブラウザ上で自由に視点を切り替えて視聴体験できる。また、同会場では、すでに提供している、Wi-Fiを利用したエリア限定配信プラットフォームWi-Fiを利用してスマートフォンやタブレット端末に映像・音声・テキストなどを同時配信する、エリア限定型のコンテンツ配信プラットフォーム「potaVee(ポタビ)」も体験できる。

Wi-Fiを利用したエリア限定型のコンテンツ配信プラットフォーム「potaVee(ポタビ)」

体験会場概要

日時: 2014年9月19日(金)~21日(日) 10:00~18:00
場所: グランフロント大阪北館 ナレッジキャピタル 2F ザ・ラボ アクティブスタジオ参加費: 無料
展示概要:
 電通の考える新しい映像体験とそれを支えるテクノロジーの説明
 多視点動画配信ソリューションVIXT体験展示
 エリア限定配信プラットフォームpotaVee体験展示

ザ・ラボ アクティブスタジオ