和式トイレ(和式便器)のデザインをどう思いますか?

しゃがみ込み型の便器はいくつかあれど、あのスリッパのようなデザインは世界でも日本のみだという「和式便器」。洋式便器が増えた今でも、公共施設では充分現役です。ただ、使い方が日本人以外には想像しにくいのか、外国人観光客の多い地域では使い方に関わる問題も起こっているのだとか。そんなわけで正しい使い方を説明したポスターを掲示する場所も増えているそうですが、外国人の方はどう思っているのでしょう。

今回は、日本在住の外国人20名に「和式トイレ(和式便器)のデザインをどう思いますか?」と質問してみました。

■最初はびっくりしましたが、よく考えると和式のほうが清潔ですね。すごく良いと思います。(フィリピン/40代前半/女性)
■尿が跳ねない先端部分のつくりが面白いと思う。(イギリス/20代前半/女性)
■きれいで便利です。(台湾/40代前半/男性)
■すてき!(ドイツ/40代前半/女性)

一般住宅では少なくなったとはいえ、公共施設だと洋式便器のように肌を密着させたくないから、と選ぶ人も多い和式便器。他国ではアラブやトルコなどにもある床に埋め込まれたしゃがみ込み式の便器の一種ですが、「先端部分」の金隠しがある構造は日本特有なので「和式」と呼ばれます。

一般的な陶製が登場したのは明治時代。周囲の汚れを軽減するため、自然に前方にしゃがみこむ体勢になる「鉢の長さを伸ばして金隠しの高さを低くしたエロンゲートタイプ」が現在は主流です。ちなみに、金隠しは1990年代に丸型から台形型にモデルチェンジしており、便器が好きなファンにとって丸型は希少価値なのだそうですよ。

■多くの外国人(私も含めて)は初めて使う時に前後がわからない。(ロシア/20代前半/女性)
■ドアにお尻を向けるのがなれませんね。(韓国/40代後半/男性)
■洋式と比べると、前後が反対なので違和感があります。(オーストラリア/40代前半/男性)

2014年6月の京都新聞に「外国人観光客『和式WC』困った 使い方分からず、トラブル続発」という記事が掲載されていました。記事にも京都在住の外国人の方が「欧米人なら、どこかに腰掛けて用を足すという前提で考えると思う」というコメントがあったのですが、使う方向からして想像がつかないよう。日本人がアジアなどに旅行するとトイレの形や方法に驚きますが、外国の人も同じ気持ちなのかもしれません。

■母国にも似たような形のトイレがありよく使いますが、お年寄には使いにくい気がします(トルコ/30代前半/女性)
■便器と床に段差がないので便器の中を踏みそうで心配です。(タイ/30代後半/女性)

トルコの方の回答は、まさに前述したしゃがみこみ式トイレが主流の国、という感じ。日本で洋式便座が普及した理由のひとつに、お年寄りや膝が悪い人も使いやすくするというバリアフリーの観点があります。そう考えると、しゃがみ込み式の便座を使っている国には、似たような問題が起こっていると言えそうです。

■とても使いにくいと思います。(スペイン/30代後半/男性)
■とても使いにくいです。(アメリカ/20代後半/男性)
■使いにくいです。(ブラジル/20代後半/男性)
■使いづらいと思います。(ペルー/30代前半/男性)
■デザインもあまりよくないし、使いたくないです。(スウェーデン/40代後半/女性)

基本的に海外では椅子の生活ですから、膝を折り曲げてしゃがむという格好も日常的ではないはず。体勢的にも形的にもある程度のバランス感が必要な和式便座が使いにくい、というのも仕方ないのかもしれません。日本人だって、子どものうちはきれいに使うことが難しいのですから……。

■なるべく使わないようにしているので、古いとしか思ったことがありません。(マレーシア/30代前半/男性)
■古いって感じがする。(アルゼンチン/30代前半/男性)
■ちょっと古くて、汚い感じがします。(ベトナム/30代前半/女性)
■気持ち悪い。(イスラエル/30代後半/女性)

こちらは昔の公衆トイレなどの印象も含んでの回答でしょうか。最近では地下鉄などのトイレもずいぶんきれいになりましたが、郊外や地方ではまだまだこのようなイメージが強そう。和式便器である時点で、そのトイレ施設自体もそれなりに古いわけですしね。

水洗が一般的ではなかった40年くらい前までは、トイレの床下が空洞の肥だめになっている家も地方では多く、足を踏み外して落ちた子どももいたとかいないとか。回答に「便器の中を踏みそう」という物がありましたが、この古いスタイルからたどると、実は和式便器も進歩の証しとは言えるんですよね。

今では日本は世界一進んでいるトイレの技術を持つ国だと評されます。実は和式便座は、その進化を物語る生き証人(品?)でもあると思うと、おもしろいものです。