日本各地に数多く存在するコンビニエンスストア(コンビニ)。都市部を中心に24時間営業が基本の営業形態のため、多忙な時期や急な買い物にも対応してくれる、その名の通り「便利」な存在です。
もはや生活の一部となっている感もあるコンビニですが、そこで売られている商品のデザインについて、海外からやってきた人たちはどのように感じているのでしょうか。今回は、日本在住の外国人20名に、「日本のコンビニで見かけた物で「これはデザインがかっこいい」と思ったのは?」と質問してみました。
■コーヒーマシン(トルコ人/33歳/女性)
■コーヒーカップなど(ベトナム人/32歳/女性)
デザイン性の高いコーヒーマシンというと思い浮かぶのが、クリエイティブディレクター・佐藤可士和氏が手がけたセブン―イレブン独自ブランド「セブンカフェ」のコーヒーマシン。シルバーとブラックでまとめられた本体やシンプルな周辺アイテムは既存のコーヒーマシンとは趣が異なり、とても目を惹きます。このブランドが立ち上がった前後から、他のチェーンでも店頭で出すタイプのコーヒーマシンが続々と導入され、多くの人が利用していますね。
ここではマシンのほかにもカップが「かっこいい」という声が上がっています。店員がマシンを扱うローソンの「マチカフェ」以外は基本的にセルフサービスなので、自然とカップやマドラーなどの周辺アイテムにも目が行きやすいのかもしれません。
■ビールの缶(ドイツ人/43歳/女性)
■梅酒用のビン(チュニジア人/49歳/男性)
■ペットボトル。(イギリス人/23歳/女性)
飲料の容器いろいろ。ドイツの方から「ビールの缶」のデザインがかっこいいとコメントされたのはうれしいところ。近年はアサヒ、キリン、サッポロ、サントリーといった大手メーカーに加え、中小のご当地ブルワリーが手がけた個性的なパッケージも並んでいるため、そのあたりも評価されたのでしょうか。チュニジアの男性が語る「梅酒用のビン」、漬け物用のビンがコンビニに置かれていることは考えにくいので、「チョーヤ梅酒」などボトルで売られている物を指しているものと思われます。確かに、梅酒用のビンはやわらかく女性的な和風テイストのデザインが多いため、酒類の棚でもやや目立つものかもしれません。
また、ペットボトルは世界各国で飲料用の入れ物として用いられていますが、「ペットボトル」と呼ぶのは日本だけで、実は和製英語なのだとか。イギリスの女性に評価されたのはパッケージのどんな意匠だったのか気になるところです。
■特にデザインのかっこいいものはないかな。(スウェーデン人/45歳/女性)
■なかったです。(中国人28歳女性)
■ないです。(アルゼンチン人/30歳/男性)
20名中3名、と少ない数ではあったものの、「特にデザインがかっこいいものはない」との反応は気になってしまいます。デザイン大国・スウェーデンの女性からの一言はやや重いですが、日々利用するコンビニという場所がら、デザインという視点では見づらいということも大いにありそうです。
■テレビガイド(スペイン人/37歳/男性)
■雑誌(韓国人/47歳/男性)
コンビニの窓際に必ず配置されている雑誌売り場。そこで見かけた表紙のデザインも「かっこいい」と思われているようです。テレビガイド誌からファッション誌まで、表紙を立てた状態で一覧できるため、それぞれのデザインが認識しやすいのでしょう。
■ファイナルファンタジーに出ているポーションのジュースが格好良かった。(タイ人/37歳/女性)
■ガンダム等のキャラクターのお菓子(ブラジル人/28歳/男性)
アニメやゲーム関連の商品に対して好印象を持つ意見。「ポーションのジュース」というのは、2006年ごろから数回サントリーから発売された、ゲーム「ファイナルファンタジー」に登場する回復アイテム「ポーション」をイメージした清涼飲料。特に2006年に発売された商品の限定版の瓶のデザインは、同作品をイメージさせる神秘的な形状の飾り栓が付属していたため、こちらを見て「かっこいい」と感じられた可能性が高そうです。
一方、ブラジルの男性はガンダムなどキャラクター関連のお菓子が「かっこいい」と思っているそう。最近は子供向けから大人を対象にした物まで、コンビニでもアニメ関連の食玩が置かれたり、アニメとタイアップしたキャンペーン限定のお菓子が売られたりすることも多くなり、アニメに登場するロボットやキャラクターのデザインを目にすることも多くなりましたね。
■Kitkatの抹茶チョコレートです。(フィリピン人/43歳/女性)
■アイスクリームのパルム(イスラエル人/37歳/女性)
お菓子やアイスなど甘い物のパッケージについて。「Kitkat」には抹茶をはじめ和風のフレーバーがたびたび登場していて、そのパッケージは和洋折衷の趣が強いので、そんなデザインがクールに感じられたのかも。
また、森永乳業が展開するアイス「パルム」は、子供向けの食べ物のイメージが強い棒付きのアイスクリームに、大人っぽい上質なイメージを持ち込んだヒット商品。コンビニの個装パッケージの冷凍庫でたびたび目にする定番商品の中では「上質」なイメージが強く、そこが印象に残ったといえそうです。
■おにぎりの包装(アメリカ人/29歳/男性)
■持ち歩く灰皿(台湾人/41歳/男性)
パッケージの機能面に着目する声も。おにぎりの個包装、日本に住んでいると当たり前のように感じますが、3ステップでスムーズに開けることができ、コンビニでさっと買ってパリパリの海苔を巻いたおにぎりが食べられるのは日本ならでは。あの個装フィルム、1970年代に長野のお総菜屋さんが開発し、その後コンビニ各社がこぞって開発・導入したのだとか。
台湾の男性が挙げた「持ち歩く灰皿」は、たばこのポイ捨てが強く問題されはじめたことを受けて、コンビニの定番商品となっていますね。ポーチ型の安価な物を中心に、持ち歩きたくなるようなさりげないデザインの物が多いとも言えそうです。
■フライ系の入れ物(マレーシア人/31歳/男性)
各コンビニチェーンのレジ前に必ずと設置されているフライ食品の棚。ローソンの「からあげクン」やファミリーマートの「ファミチキ」など、手軽に食べられる物がそろっていますが、その「入れ物」に着目した意見にははっとします。油がしみ出す揚げ物をさっとその場で食べられるのも、デザインされたパッケージがあるからこそですものね。
今回は、コンビニで売っている物で「かっこいい」と感じるものを聞いてみました。コーヒーカップやフライ食品のパッケージなど、もはや日常の一部と捉えられてしまうような部分や、おにぎりの個包装などの機能的な物に「かっこいい」という声が集まったのは意外な発見でした。筆者を含め、身の回りにコンビニがあり、利用するのが当たり前という感覚だと、こうした答えは出てこないもの。この回答群を思い浮かべながらコンビニの店内を見回してみると、また違った発見がありそうです。