凸版印刷と村田製作所は9月5日、PUF技術を搭載した世界最小クラスのICタグを共同で開発したと発表した。
PUF技術とは、ICチップが持つわずかな個体差を人間の指紋のように利用する偽造防止技術である。従来の暗号技術を用いた高価なICチップとは異なり、製造コストを抑えながらも偽造される可能性が極めて低いため、次世代のセキュリティ技術として注目されている。凸版は、2013年に同技術を搭載したNFC対応ICタグ「SMARTICS-V」を開発。偽造・模倣品対策を実施する企業などに向けて販売してきた。一方、村田は、2008年にRFIDタグ内蔵モジュール「マジックストラップ」を開発。工程管理や物品管理などに広く使用されている。また、2012年にはアンテナを多層基板に内蔵した超小型タイプの「マジックストラップ」を開発し、従来用途はもちろん、これまでICタグを取り付けることができなかった試験管やペンなどの小さな製品への取り付けを可能にした。
そして今回、凸版がもつPUF技術を搭載したICタグの製造技術と、村田がもつICタグの小型化技術を融合することにより、PUF技術を搭載した世界最小のICタグの開発に成功したという。
なお、同製品は、小型電子機器の真贋判定向けに12月からサンプル出荷を開始する。また、今後も凸版は村田と共同で同製品の開発を推進し、2015年4月からの量産化を目指す。さらに、同製品を電子機器基板や事務機器用品を取り扱う企業に向けて拡販し、2015年度に関連受注を含め約10億円の売り上げを目標にするとしている。