科学技術振興機構(JST)は「大学発ベンチャー表彰」の受賞者の5社を決定し、9月2日発表した。文部科学大臣賞には、東京大学大学院工学系研究科の越塚誠一教授の開発した粒子法シミュレーション技術を基盤としたプロメテック・ソフトウェア(藤澤智光社長)が選ばれた。
この表彰は、大学などの研究成果を用いたベンチャーの支援を促すのが目的で、今年から始まった。活躍が期待される大学発ベンチャーと、その成長に寄与した大学や企業などを表彰する。第1回の今年は全国から75件の応募があり、選考委員会(委員長・松田修一早稲田大学名誉教授)が書類と面接の審査をして、5社と支援大学・支援企業の受賞を決めた。表彰式は9月11日、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で。イノベーション・ジャパン2014が同日、同会場で開かれる。
文部科学大臣賞のプロメテック・ソフトウェアは東京大学発ベンチャーとして2004年に設立され、世界に通用するソフトウェア企業を目指している。越塚誠一教授の粒子法で流体の自由表面のシミュレーションを可能にした新規性、独創性が高く評価された。その事業の育成を構造計画研究所(服部正太社長)が資本・業務提携契約を結んで支援した。
科学技術振興機構理事長賞には、静岡大学電子工学研究所の川人祥二教授の技術シーズを基にCMOSイメージセンサの設計、開発、販売をするブルックマンテクノロジ(青山聡代表取締役)、日本ベンチャー学会会長賞には、金沢大学大学院医学系研究科の金子周一教授の遺伝子発現解析ノウハウを利用して「消化器がんマイクロアレイ血液検査」を事業化したキュービクス(丹野博社長)が選ばれた。
また、特別賞に、近大マグロなどを世に送り出した近畿大学水産研究所(宮下盛所長)の長年の研究成果による養殖魚の販売、専門料理店を経営するアーマリン近大(逵浩康代表取締役)、慶應義塾大学先端生命科学研究所(冨田勝所長)の「合成クモ糸繊維の分子デザイン」などの成果を基に小島プレス工業(小島洋一郎社長)の支援を受けて世界初の工業化を目指すスパイバー(関山和秀代表執行役)が決まった。