村田製作所は9月2日、金属メッシュデバイスの標準モデル「1907/4520/7232」シリーズを設定したと発表した。

金属メッシュデバイスとは、μmオーダーの物質を選別するために篩(ふるい)を掛け、そこで選別された微量物質を検出するデバイスのことである。同社では、環境市場やヘルスケア市場に新しい価値を提供すべく、金属メッシュデバイスを開発し、改良を進めている。

現在、各種の検査や分析における前工程では、必要な試料をサイズに応じて分級するために、メンブレンに代表される多孔性膜が主に使用されている。しかし、多孔性膜は孔サイズのバラつきが大きく分級精度が悪い、開口率が小さく処理に時間がかかる、侵食性の強い薬品を使えない、などという問題があった。これに対し、金属メッシュデバイスは、独自の設計技術と、これまで培ってきた微細加工技術を応用し、μmオーダーの寸法精度で、かつ十分な機械強度を備えており、これらの問題を解決することができるという。

また今回、広い分野で利用できるよう、格子間隔、孔サイズ、厚みの設計を標準化した3タイプを標準モデルとして設定した。これにより、例えば、ヘルスケア市場では、血液成分や細胞の抽出や分離をさせる篩として、また環境市場ではPM2.5などの微量物質を簡単に検出するデバイスとして広く利用できるとしている。

同成果は、同社と京都大学の小川雄一博士、九州大学の三浦佳子博士、大阪市立大学の菜嶋茂喜博士、長浜バイオ大学の長谷川慎博士、金沢大学の大谷吉生博士らの共同研究によるものである。

なお、金属メッシュデバイスのサンプル価格は1セット10個入りで10万円。

金属メッシュデバイス