究極の循環型トイレの開発が進行中

結局のところ、ヒトが出すうんちや尿を下水として流してしまうから、赤潮の問題も発生するし、リンも約50%が下水に流入するような事態になるわけだが、だったら、究極の循環型トイレは作れないのか? というのが、次のエリア4「宇宙のトイレは未来のトイレ?」である。現状、国際宇宙ステーションでは、尿は回収されて再利用されているが、うんちに関しては溜めておき、「こうのとり」などの補給船に積んで、大気圏に再突入させてほかの不必要なもの(規定時間数を超えて着用された衣類など、燃やしても安全なもの)と一緒に燃やしてしまっている。

しかし、これが2030年代にNASAが目指しているような火星への有人飛行など、より距離が遠く、補給を簡単に受けられないような惑星探査などでは、うんちに含まれる有用物質もきちんと回収して再利用しないとならない。そこで現在、研究が進められているのが、「マーク5」という究極の循環型ともいえるトイレだ。日本においては、かつて農業で「肥だめ」として、野菜などの生育に有効な肥料となることから利用されていたわけだが(毛利さんは、内覧会冒頭に行われたトークセッションで、少年時代に肥だめに落ちた経験があることをカミングアウト(笑))、それと同じで、うんちを肥料として野菜などを育てようというコンセプトである(画像17)。

宇宙用ということもあって、鞍型のかなりコンパクトな感じで、座り込んで間にうんちをうまく通すという感じで、いってみればちょっと小さめのハイテクオマルというか、和式便器をもっとコンパクトにして直接座り込み、フィットしやすい柔らかい抗菌素材でできた便座にぴったり密着させ、漏れないようにして回収するという具合だ。尿は前方で、うんちは後方でそれぞれ個別にゲル状物質に包まれて回収される仕組みとなっている(画像18)。

「宇宙に行きたい!」というヒトは老若男女問わずいっぱいいるわけだが、少なくともトイレに行きたくなるような時間、宇宙にいるとなった時、これがクリアできないと、宇宙に行くのは無理なわけで、やっぱり宇宙は本当に根性がないと行けないなぁと感じてしまうのである。しかし将来、宇宙空間での民間人の滞在が当たり前のような時代が来た時、トイレが子供でも利用しやすいような簡便な仕組みである必要があるわけで(宇宙空間でのお漏らしを考えるとかなり恐ろしいことになる…)、宇宙トイレは今後もさらに研究を重ねる必要がありそうだ。

画像17(左):自分が出したものを栄養にして野菜を育ててそれを食べ、また出す。生理的には複雑な気もするが、宇宙での超時間の滞在には必須の技術である。画像18(右):宇宙トイレ「マーク5」。こういう使うのに難度が高めのトイレは、子供とかは失敗しそうで、やはりオムツ着用になるのだろうか