サントリー健康科学研究所は6月9日、独自の果汁由来のポリフェノール高含有オリーブ抽出物「オリーブOPX」が血管内皮機能の低下を抑制すること、ならびにオリーブOPXとブドウに含まれるポリフェノールの組み合わせが血管内皮機能を改善することを確認したと発表した。

同成果の詳細は、「第14回 日本抗加齢医学会総会」ならびに「第82回 欧州動脈硬化学会」にて発表された。

オリーブオイルに含まれるポリフェノールは、心血管疾患の発症リスクである血管内皮機能の低下を抑制するといわれていることから、今回、研究グループは、オリーブに含まれるポリフェノールがオリーブ果汁に多く含まれることに着目し、果汁由来のオリーブ抽出物(オリーブOPX)の摂取が血管内皮機能の改善効果を示すかどうかの検証を行ったという。

血管内皮機能改善効果に関する研究としては、通常飼料を与えた正常ラットと同高血圧ラット、通常飼料にオリーブOPXを重量パーセントで0.05%混ぜて与えた高血圧ラット、同0.15%混ぜて与えた高血圧ラットの4種類を用意し、5週間摂取させた後、血管内皮機能をアセチルコリンに対する血管弛緩性を指標にして測定。その結果、通常飼料を与えた高血圧ラットで血管弛緩性が低下したのに対し、オリーブOPXを0.15%与えた高血圧ラットではこの低下が有意に抑制されたことを確認したという。

一方の血管内皮機能改善に関する研究としては、健常者を2群に分け、一方は試験食品(オリーブOPXを50mg/日)、ブドウ種子OPC(75mg/日)とビタミンC(100mg/日)を含む食品)を、もう一方の群にはプラセボ食品を4週間摂取してもらい、3週間の非摂取期間を経た後、食品を入れ替えて4週間摂取してもらうと試験を実施。試験開始前と試験終了時(摂取4週間後)に1回ずつ、食品を入れ替えた後にも同様に1回ずつ合計4回、血管内皮機能と酸化ストレスマーカーの調査を行ったところ、試験食品を摂取した場合、プラセボ食品を摂取した場合に比べて、有意に血管の柔軟性が改善したほか、試験食品の摂取をすると、プラセボ食品摂取に比べて、有意に尿中の酸化ストレスマーカーの値が改善されることが確認されたとする。

なお、研究グループでは、今回の実験から、オリーブOPXとブドウ種子OPCの摂取が健常者の血管内皮機能を改善させること、ならびにオリーブOPXとブドウ種子OPCの摂取が血管を酸化から守ることとなり、血管の柔軟性を改善させたことが推測されると説明しており、血管内皮機能が低下すると動脈硬化が発生しやすいといわれていることを考えると、オリーブOPXとブドウ種子OPCには、動脈硬化を予防する効果があることが期待されるとコメントしている。

血管弛緩性の評価

血管内皮機能の評価(N=68)

酸化ストレスの評価(N=68)