jig.jpは6月4日、オープンデータの登録/管理を簡単に行えるSaaS「オープンデータプラットフォーム(以下、odp)」をリリースしたと発表した。実行基盤にはAmazon Web Serviesを活用。今後、データやリクエストが増大したときのために、SAPのインメモリデータベース「HANA」も組み込み予定という。

jig.jp代表取締役社長 福野泰介氏。メガネフレーム国内シェア96%の鯖江市に本店を構える企業として、メガネ型のウェアラブル端末「Google Glass」を装着して登場

odpは、Webの創始者であり、Linked Open Dataの提唱者であるTim Berners-Lee氏が定める「5つ星オープンデータ(Linked-RDF)」に準拠したオープンデータを簡単に作成/登録できるサービス。専門知識のない担当者でも、指定されたExcelフォーマットにデータを入力してアップロードするだけで国際標準のオープンデータを生成できるといった特長がある。

また、odpにはオープンデータを活用する開発者向けの機能として、SPARQLによるデータ抽出コマンドを受け付けるためのインタフェース「SPARQL Endpoint」も提供されている。SPARQLは、RDF形式のデータから必要なデータを抽出するためのクエリ言語。データ間の意味付きリンクの情報を持つRDF形式データ向けに最適化されている。SPARQL Endpointを利用することで、SPARQLエンジンの設置やデータの配備など、環境構築の手間を省けるという利点がある。

価格は、上記の基本機能とSPARQL Endpointのセットで年間150万円(税別)。3ヶ月間無料で使えるトライアル版も提供される予定。

odpのアップロード画面。アップロードするExcelファイルを選ぶだけ

odpの開発者向け機能「SPARQL Endpoint」でデータを検索した結果

odpを活用したアプリの例。観光地情報とバスの運行情報がGoogle Map上に表示されている。バスはGPSで現在地を取得しており、走行している場所がリアルタイムに表示される

こちらは、消火栓とAEDの設置場所を表示するアプリ

説明会に登壇した鯖江市長の牧野百男氏

そのほか、odpのオプションパッケージとして、アプリ開発者向けにオープンデータをカタログ化して表示する「データカタログサイト」と、一般利用者に対してデータの公開を知らせる「オープンデータ情報サイト」もセットで提供されている。こちらは、年間50万円(税別)。

なお、福井県鯖江市に本店を持つjig.jpは、鯖江市に対して働きかけるかたちでオープンデータの公開/活用を推進しており、「データシティ鯖江」を謳う同市のオープンデータ向けプラットフォームとしてodpが利用されているという。すでに40種類のオープンデータが公開され、それを活用したアプリケーションも、jig.jp代表取締役社長 福野泰介氏が開発したものを中心に約90個公開されている。

また、2013年に実施された総務省のオープンデータ実証実験でもodpの前身の技術が活用されており、横浜市と鯖江市が公開するデータの互換性確認などで一役買っている。

鯖江市は世界で初めてW3Cに加盟した地方自治体でもある

福野氏は、「地方自治体は、リアルタイムのデータを提供できるという特長がある。国が提供できるものは、1年度前の統計データなど、過去のものが多いが、地方自治体からは今を反映したデータが提供できる。アプリ開発者にとっては魅力的に映るはず」とコメント。これからデータを公開する地方自治体に対しては、「まずは観光地情報や避難所情報から提供を始めるとアプリ開発者に喜ばれるのでは」とアドバイスした。