WEBの動画広告は、コンセプトがあるエンターテインメント
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東京マイルドファウンデーション代表取締役 社長 橘健一氏 |
第2部は、岩上氏からバトンを受けた東京マイルドファウンデーションの橘氏が「WEB動画市場における新しい企業CMのカタチ」というテーマでCMのトレンドや制作上の押さえるべきポイントなどを紹介。冒頭で同氏は、「アメリカ、そして日本でTVがリアルコンテンツではなくアーカイブメディアに変わり、視聴者にとっては『CMはうざいもの』という認識が広まっている」と指摘した。
アメリカでは広告費もTVからインターネットへシフト。視聴者のマインドは一方的に配信されるCMには抵抗感があるものの、CMをコンテンツとして観ることには関心が高い。こうした状況の中で、WEBでの有効な2つのスタイルのCM動画について、様々な事例を挙げて紐解いていった。
1つめは、既存のコンテンツの中に有効的なプロダクトを配置していく「プロダクトプレイスメント型広告」というもの。最近では「SEX AND THE CITY」。シーズンを通して、94社の協賛会社があり、ドラマ作品とともに、広告も高い効果をあげた事例だ。これは、既存のコンテンツに対してタイアップしていくもので、そのコンテンツがどういう「ターゲット」を対象にして、「どれくらいのリーチがあるのか」「どういったプレイスメントプラン」ができるのか。この3つを基軸に考えていくのが大切だという。
もう1つはイチから創っていくコンテンツ型の広告。「Dove」や「Lacoste」などのCMを通じて、消費者に愛されるコンテンツがいかに重要かをわかりやすく解説した。
このスタイルの広告は、クリエイターの裁量に大きく左右されるため、制作する上で最初に必要なのは、クリエイターの「メッセージの理解」だという。その他にも、表現方法や映像を通してユーザーに届けたい感情の選択、企業メッセージなどがコンテンツの効果の良否のカギを握っていることに言及した。最後に同氏は、「新しい企業CM(広告)とは、『コンセプトがあるエンターテインメント』です」という言葉で締めくくった。
WEBは尺の制限がなく、CMシリーズをYouTubeにアップして、動画広告などに多用化が可能。また効果も数値化でき、費用対効果も優れている。多くの点においてTVよりもメリットは大きいとのこと。今後のWEBにおける動画コンテンツの大きな可能性を感じさせるものだった。
質疑応答の時間も、両氏から熱のこもった話がなされ、参加者のメモは止まることがなかった。
例えば「お客様へ提案する際に気をつけるべき点は何ですか?」という質問には、「面白ネタの記事を提案・実現するには、早い段階から決裁者を巻き込んでいくことが大切」(岩上氏)「ダイレクトマーケティング型の映像はPDCAを回し、必ずABテストを行う。ブランディング型では、クリエイターのポートフォリオをみせて、クライアントと目線を合わせる」(橘氏)と、ケースに合わせて詳細に回答をしていた。この例からもわかるように、両氏の言葉には現場を経験した者しか得られないテクニックや考え方が凝縮されており、参加者にとっては有益なノウハウを学ぶ機会になったはずだ。
Creator’s Career Lounge webは、今後もWebクリエイター向けの勉強会を開催していく。是非、興味のある方はサイトを確認して欲しい。