Analog Devices(ADI)は5月21日、クロック逓倍器付きマルチサービス適応クワッドチャネルクロック変換器「AD9554」を発表した。

同製品は、同期光ネットワーク(SONET/SDH)などの多くのシステムにジッタクリーンナップと同期機能を提供する。入力部に組み込まれたクロスポイントスイッチは、多数の部品で様々なクロッキングコンフィギュレーションを維持する従来方式よりも、優れたフレキシビリティを提供し、導入コストの低減をもたらす。また、940mWという低消費電力を実現しているのに加え、最低0.1Hzの帯域幅で、2kHz~1GHzの外部入力リファレンスと同期した430kHz~941MHzの範囲にわたる出力クロックをそれぞれ4つ生成する。そして、4個のアナログデジタルフェーズロックループ(ADPLL)は、入力ジッタ、あるいは外部リファレンスに関連した位相ノイズを低減できるようになる。この他、デジタル制御ループやホールドオーバー回路は、すべてのリファレンス入力が故障しても、途切れることなく低ジッタの出力クロックを生成できる。さらに、適応クロッキング機能により、ロックされた状態で、DPLLの分割比の変更が可能となる。

加えて、「AD9554」クロック中のDPLLには、高集積で適応クロッキング機能の光トランスポートネットワーク(OTN)マッピングアルゴリズムが組み込まれている。これにより、クロッキング回路の簡素化、ソフトウェア制御ルーチンの不要化、システムコストの低減を実現している。出力ジッタは、50kHz~80MHzの範囲で250fs、12kHz~20MHzの範囲で350fsとなっている。

なお、パッケージは72リードLFCSP。価格は1000個受注時で21.33ドル。現在、量産出荷中。

ADIのクロック逓倍器付きマルチサービス適応クワッドチャネルクロック変換器「AD9554」