理化学研究所(理研)は5月8日、科学誌「Nature」に掲載されたSTAP論文に関する疑義に関する調査委員会が3月31日に取りまとめた調査結果に対し、小保方晴子研究ユニットリーダーが行っていた不服申し立てを行っていた件について、調査委員会が再調査を行うか否かの審査を行い、その結果、再調査を行わないという結論に至ったという報告がなされたと発表した。
調査委員会では、審査結果について、不服申し立ての趣旨、理由などを勘案し、調査結果に対する再調査は不要と判断したと説明。具体的には、中間報告書の報告以降においても不服申立て者に弁明の機会が与えられており、その機会における説明の結果に基づいて結論を得たものであるとするほか、不服申立てに関して言い足りなかったとか補足したい点の提出を求めたり、ヒアリングの申し出があれば行う用意があることなども伝えたが、十分な回答を得ることができなかったとしている。
理研では今回の報告を受け、再調査は行わないことを決定し、今後、科学研究上の不正行為の防止等に関する規程に基づき必要な措置を講じていくほか、小保方氏に対し、当該研究に係る論文の取下げ勧告を行ったとしている。
なお、この不服申し立てに関する審査について21ページの報告書としてまとめられ、理研のWebサイト上にて公開されているほか、この結果を受けて、理事長の野依良治氏が「調査委員会の審査結果は、慎重に検討を重ねた上での結論であると承知しており、研究所は、この報告を受け、再調査は行わないことを決定し、不服申立て者に対し、このことを通知するとともに、研究不正と認定された論文一篇について、取り下げの勧告を行いました。今後、研究所の規程に基づき必要な措置を講じてまいります」と声明を発表しており、「改めて今回の事案を厳粛に受け止め、研究不正行為の防止と、研究活動に対する信頼回復に努めてまいります」と、今後、理研としての取り組む姿勢を示している。