東北大学と日本原子力研究開発機構(JAEA)は4月22日、蛍光X線ホログラフィ法を用い、リラクサー強誘電体の局所的な原子配列(構造)を立体的(3次元的)に明らかにすることに成功したと発表した。

同成果は、東北大学 金属材料研究所の林好一准教授、JAEAの胡雯博士研究員らによるもの。広島市立大学、熊本大学と共同で行われた。詳細は、米国科学誌「Physical Review B」オンライン版に掲載される予定。

リラクサー強誘電体に代表される鉛系強誘電体は、誘電率や圧電率が非常に高いことから、少ない電気入力で大きな変形を得ることが可能であり(高機能物性)、医療用超音波プローブの送受信用振動子、超音波モータの駆動部などの材料として利用されている。一方、これらの材料は、毒性を持つ鉛を含むため、廃棄による環境への流出、生態系への悪影響が懸念され、非鉛材料の開発が急務となっている。そのためには、高機能物性の発現メカニズムを原子配列の観点から知る必要がある。これらの材料は原子レベルで不均質(不均質系結晶)であることから、特に局所的な構造の解明が重要となる。

今回の研究では、蛍光X線ホログラフィ法をペロブスカイト構造を持つ典型的リラクサー強誘電体であるPb(Mg1/3Nb2/3)O3に適用し、不均質系結晶における3次元局所構造の解明に成功した。これにより、今後、リラクサー強誘電体の高機能物性の起源の解明が進み、鉛などの有害物質を使用することなく、高性能な誘電・圧電性を有する強誘電体を実現するためのブレークスルーがもたらされる。また、蛍光X線ホログラフィ法は、不均質系結晶の構造解析を強力に押し進め、国内で推進されているグリーンイノベーションを支える、エネルギー利用の高効率化・スマート化を促す新規デバイス材料の開発などを促進することが期待されるとコメントしている。

今回の研究における実験条件。結晶に対する入射X線の方向をθ、Φ軸回転で制御することにより、3次元的な蛍光X線ホログラムを計測する

(左)今回得られた原子像、(右)理想的なペロブスカイト構造

リラクサー強誘電体において発見された扁平菱面体と扁長菱面体の3次元ネットワーク