企業が求める人材がなかなか埋まらない……スキルギャップ問題が相変わらず深刻のようだ。米国の調査では、3ヶ月以上空白のポジションがある場合、損失額は1万4000ドル(約143万円)にのぼるという。また、6社に1社が2万5000ドル(255万円)以上の損失を出しているという。就職情報サイトの米CareerBuilderが3月に、スキルギャップに関するアンケート調査結果を発表している。

調査は2013年10月~11月に行なわれ、企業1025社、求職中の人1500人を対象に行ったもの。それによると、企業の半分以上となる54%が「求人を出したまま埋まらない空白の職種がある」と回答した。

そのうち、3ヶ月も埋まらないという企業は35%もあった。3ヶ月以上空白のままの場合、損失は1万4000ドル(約143万円)としている。

もちろん、企業側もスキルギャップによる損失を問題視している。損失額だけではなく、既存のスタッフの生産性や労働の質も懸念となっているようだ。

例えば、「作業負荷が増えたことによる勤労意欲の低下」を指摘した企業は40%で、34%の企業が「作業が予定通りに終わらない」、30%が「顧客サービスに悪影響が出ている」などと回答している。

ほかにも「従業員の作業負担が増えたために仕事の質が低下した」(30%)、「モチベーションの低下」(29%)や「スタッフのミスが増え、作業の質が低下した」(25%)と挙げている。

なお、スキルギャップが多い職種は「コンピュータ・数学関連」が71%で断トツだった。次いで「建築・エンジニア」(70%)、「マネジメント」(66%)、「看護婦などヘルスケア専門職」(56%)、「設置工事・保守・修理」(55%)などが続いている。

このような状況に対し、対策を講じる企業も。「条件に見合わない人を採用した」と妥協した企業は61%で、その後トレーニングをうけてもらった後にその任務に就いてもらう計画のようだ。

別のアプローチもあり、49%の企業が「その分野の経験のない既存のスタッフをトレーニングする」ことで一応の対応を図るようだ。

一方で求職中の人も、自分の持つスキルと求められるスキルのギャップを認識しているようだ。

求職中の人の7割強が「分野外の仕事もやってみたい」として、トレーニングを受けて新しいスキルを獲得しようと思っていることがわかった。そして9割以上の人が、「スタッフのトレーニングに投資してくれる企業を信頼する」と回答している。

CareerBuilderはスキルギャップの要因として、教育(学歴)、待遇への期待、仕事の要件、新しい技術などを挙げている。