矢野経済研究所は4月9日、携帯電話の国内市場に関する調査を実施しその結果を発表した。調査は2013年11月~2014年3月、国内の携帯電話メーカーや移動体通信サービス事業者、半導体メーカー、関連業界団体等を対象に行われたもの。

それによると、2014年度(2015年3月期)の国内移動体通信サービス累計契約数について、同社では1億5993万4900契約を予測。スマートフォン新規契約の鈍化が見込まれる一方、MVNO(Mobile Virtual Network Operator=仮想通信事業者)のサービス契約、ならびにスマートフォン向けにLTEとBWA(広帯域移動無線アクセスシステム)を組み合わせたサービスの契約数増加が期待されるとしている。

国内移動体通信サービス、MVNOサービス累計契約数と普及率予測

スマートフォンの急速な普及により、契約獲得競争において回線の品質が重視されるようになったことや、2020年の東京オリンピック開催を見据え、通信事業者各社は前倒しで4Gの導入を進め、2015年度から2016年度にかけて運用が開始される。しかし同社では、これが契約数増加に大きく貢献することはなく、2020年度のサービス累計契約数は1億9634万4900契約と予測する。

一方でスマートフォン月額利用料金の割高感から、格安SIMカードを提供するMVNOサービスが注目されており、2014年度のMVNOサービス累計契約数は1970万契約が見込まれる。これは移動体通信サービス全体の12.3%を占める形となる。

今後はMVNO事業者への回線卸売価格の値下げを背景に、低価格化や多様なサービスが提供され、市場拡大が期待されるとし、2020年度にはMVNOサービス累計契約数は5500万契約、移動体通信サービス全体に占める割合は28.0%と予測している。

今後の収益拡大には、「開通手続きの迅速化など通信事業者によるMVNO事業者へのサポートの拡大」と「SIMフリー端末のラインアップ拡大」「販路の拡大」「音声通話サービスなどMVNO事業者の提供サービス範囲の拡大」といった対策が求められるとしている。

また、2014年度の国内のハンドセット(フィーチャーフォン+スマートフォン)合計出荷台数については、フィーチャーフォンの大幅な縮小基調から、昨年度比0.8%減の3327万台を予測。

一方でMVNOが提供する「割安スマホ」への関心が高まっており、リーズナブルな価格で通信事業者を問わず使用できる「SIMフリー端末」への注目度が高まるとみている。

国内のハンドセット市場規模予測