3月24日から27日にかけて米San JoseのMcEneryコンベンションセンターで開催された「GPU Technology Conference(GTC2014)」の基調講演で、NVIDIAのJen-Hsun Huang CEOが同社のGPUのロードマップや新製品などを発表した。
ハイエンドGPUのロードマップとしては、製品が出始めた「Maxwell」に続いて2016年には「Pascal」を出すというロードマップである。
縦軸は、消費電力1Wあたりの単精度浮動小数点の行列の演算性能であり、Maxwellの12に対して、Pascalでは20まで改善するというロードマップである。
一方、モバイル系や自動車向けの「Tegra SoC」では、現在の「Tegra K1」の次に「Erista」と呼ぶGPUを出すというロードマップを示した。
縦軸は、ハイエンドGPUと同じ1Wあたりの演算性能で、Tegra K1が40であるのに対してEristaは65程度になっている。ただし、ハイエンドのロードマップとはスケールが異なっているので、両者の間で数値の比較はできない。
なお、GPUの名前は偉大な科学者の名前を使っているが、Tegraはコミックのヒーローの名前が使われており、Tegra K1はウルヴァリンのLoganで、次のEristaはLoganの息子である。
新製品としては、GK110チップを2個搭載するハイエンドGPUボードの「GTX Titan Z」を発表した。現在の最上位の「GTX Titan」が2880コアであるのに対して、Titan Zは2チップであるので、2倍の5760コアとなり、ピーク演算性能は8TFlopsとなっている。なお、Titanのピーク演算性能は5.12TFlopsで、Titan Zで2倍になっていないのは、電力の制約からクロックを落としているためと思われる。
これで2999ドルとのことで、デスクトップスパコンが欲しい人には朗報である。
また、Kepler GPUを8個搭載する「IRAY VCA」という製品を発表した。
IRAYはNVIDIAのレイトレーシングソフトで、従来から発売されているが、このIRAYと8台のKepler GPUを組み合わせてアプライアンスとして製品化したのがIRAY VCAである。
ホンダにはすでに導入されているとのことで、次の図はIRAY VCAでホンダの車をレンダリングした例である。
上の写真は外観で、写真と変わらないが、下の図は輪切りにしてレンダリングしており、エンジンや座席などの内部構造が見えている。そして、レイトレーシングであるので、床に映る車の影も、輪切りに対応してそれらしく見えている。
その他の新製品としては、クラウドでGPUを仮想化して使うアプリケーションに対して、仮想化大手のVMwareがNVIDIAのGridに対応することや、Tegra K1の開発キットである「Jetson TK1」が発表された。
また、技術的なデモとしては、マシンラーニング(機械学習)に多くの時間を割いていた。機械学習はコンピュートパワーが必要な分野であり、「Google Brain」というシステムは1000台のサーバを使い、500万ドルかかり、消費電力は600kWであるが、Kepler GPUを使うサーバならば、3万3000ドルで実現でき、消費電力も4kWで済むとアピールしていた。