メディネットは4月1日、同社の契約医療機関である瀬田クリニックグループが、人工がん抗原ペプチド「MACS GMP PepTivator WT1(WT1ぺプチベータ)」を用いた樹状細胞ワクチン療法の提供を開始したことを発表した。

WT1抗原はさまざまながんに発現していることから、WT1ペプチドは有望ながん抗原ペプチドと考えられており、手術などで摘出したがん組織がない場合でも、同ペプチドを代用し、樹状細胞ワクチン療法として利用できることから、多くのがん患者に提供されている。

今回、提供が開始されたWT1ペプチベータを用いた樹状細胞ワクチン療法は、これまで白血球の型(HLA型)によって治療が提供できなかった患者に対しても治療が提供できるほか、CTL(キラーT細胞)を活性化、増強するヘルパーT細胞を増やすことで、治療のさらなる有効性向上が期待される治療法だという。

また、WT1ペプチベータを用いた樹状細胞ワクチン療法、ならびに従来のWT1ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法を実施する場合、CTLの攻撃目標となるWT1抗原が、がん細胞に出ているかどうかを調べる検査が必要であり、大学病院などの臨床試験では、治療の適応を決定する際に必ず行われる検査ながら、民間医療機関で免疫細胞治療が提供される場合には、検査を実施し、適応を判断するケースは限られていたとのことで、瀬田クリニックグループでは、攻撃目標であるWT1の発現状況を調べる検査を実施し、治療前に適応を判断することで、患者に対し、より効果的な治療を提供していく方針と説明している。

なお、今回のWT1ペプチベータは独ミルテニーバイオテクより提供を受けるもので、メディネットが解析研究を実施し、WT1ペプチベータを用いた樹状細胞ワクチン療法が安全に実施可能であること、ならびに抗腫瘍効果を発揮するCTLを誘導することがすでに確認されているという。

人工がん抗原ペプチド「MACS GMP PepTivator WT1(WT1ぺプチベータ)のイメージ