ソニーは4月1日、眼科検査用の顕微鏡(スリットランプ)に装着して、顕微鏡を覗く医師と同様の映像を高精細に撮影できるCMOSフルHDビデオカメラ「MCC-500MD」を発表した。

(左)CMOSフルHDビデオカメラ「MCC-500MD」、(右)スリットランプによる検査イメージ

スリットランプとは、眼科検査用の顕微鏡で、角膜、水晶体、結膜など前眼部の観察に用いられている。一般的に、スリットランプで前眼部を検査する際は、検査室内を暗くして患者の眼に強いスリット状の光を当てた映像を観察し、傷や炎症の確認を行う。このため、その映像は暗い背景に明るい被写体が映し出されるものとなるため、撮影するカメラにはダイナミックレンジの広さ、高い感度などが求められる。また近年、医療現場における様々な映像装置において、急速に高画質化が進んでいる。スリットランプの周辺機器においても、現在はSD映像の機器が主流だが、HDに対応したPC用のスリットランプ映像管理ソフトウェアの開発が進んでいる。それに伴い、今後スリットランプの映像を撮影するHDカメラの需要が拡大すると予測される。

同製品は、コンパクトなカメラユニット1台とコントロールユニット1台で構成され、放送・業務用カメラで培った技術ノウハウを用いることで、眼科検査映像に求められる精密な映像調整をコントロールユニットで調整でき、スリットランプ特有の暗部と明部のコントラストの大きい映像の撮影に対応する。

具体的には、有効画素数207万画素の1/2.9型CMOSセンサ「Exmor」を搭載。F値5.6の高感度、55dBの低ノイズを実現し、微細な画像情報を高精細かつ緻密に撮影する。CMOSイメージセンサは色分解性能に優れており、角膜、水晶体、結膜など前眼部の顕微鏡画像による観察・手術分野への医学的貢献が期待できるという。また、特定の撮影に適した最大6つの撮影条件を設定できる「ピクチャープロファイル機能」を搭載し、プリセットした条件はフロントパネルのボタンに触れるだけで呼び出すことができる。カスタマイズできるパラメータは、露光、シャープネス、ガンマ、ホワイトバランスなどの画質設定だけでなく、眼科検査に多用されるフルオレセイン蛍光検査モードも搭載されており、検査内容により撮影モードを簡便に切り替えることができる。

さらに、CMOSイメージセンサの採用により、フルHDの解像度を持ちながら、40gというカメラヘッドの軽量化を実現。検査機器への装着が、より容易になる。加えて、フルHDだけでなく、多くのファイリングシステムに採用されているSDにも高画質で出力できる。この他、設置される環境に応じ、カメラケーブルは6/10/15mから選択可能。さらに、オプションの延長ケーブルを用いることで最大20mまで延長できる。検査室のレイアウトによる制限を最小化した。

今後、ソニーでは、メディカル事業の中で、専用カメラに加え、レコーダやプリンタ、モニタなど医療現場の周辺機器の製品ラインナップも強化していくとしている。