新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は3月12日、海外水循環ソリューション技術研究組合(GWSTA)と共同で海水淡水化と下水再利用を組み合わせた新たな統合システムを開発したと発表した。

同システムは、海水淡水化プロセスに下水処理プロセスの一部を利用するというもの。同法人は、省エネルギー型造水プラントの運営実証を行う「デモプラント」と、水処理要素機器の試験が行う「テストベッド」を同法人が運営するウォータープラザ北九州に設置し、これまで実証実験を行ってきた。

ウォータープラザ北九州のシステム全景

実験の結果、海水淡水化のプロセスにおいて、海水と下水処理で残った低濃度の濃縮水を混ぜて濃度を下げることで、「中圧」のRO膜での処理ができるようになったという(通常「高圧」のRO膜で処理)。これにより、ポンプなどに必要な電力量を抑えることに成功し、従来より30%以上の省エネになったという。

海水淡水化・下水再利用統合システムの概要

また、同システムでは下水処理プロセスからの低濃度の濃縮水を利用するため、塩分濃度の高い濃縮水を発生させるのを抑えるだけでなく、海水の取水量を減らしつつ放流水の塩分濃度を抑えることができる。これにより、取水設備やUF膜設備の容量を減らすことができ、30%以上の低コスト化を図ることができたという。

同法人は、今回の成果を基に、世界の水ビジネス市場における日本企業のプロジェクト展開と事業化を推進するとしている。