SAS Institute Japanは3月5日、「2014年度 ビジネス戦略発表会」を開催。SAS Institute Japan 代表取締役社長 兼 北アジア地域副社長 吉田仁志氏は、改めてアナリティクスですべての企業にイノベーションを」をテーマに、日本市場でのアナリティクスの深耕を図っていくことを訴えた。
同氏によれば、 SAS Instituteのグローバルでの業績(会計年度は1~12月)は引き続き好調で、売上げは30億米ドルを超え、38年連続増収増益を達成。中でも、同社が一昨年の3月に発表し、戦略商品と位置付けている「SAS Visual Analytics」が好調だという。
地域的には、北アジア地区(日本、中国、韓国、台湾、香港)が好調で、8つある地域の中のトップリージョン(地域)になったという。とくに、新規分野での採用が目立ったということだ。
日本の業績については、ビッグデータの導入促進、顧客分析・マーケティング統合管理が好調で、特に銀行、証券会社などの金融機関の伸びが大きく、昨年の2倍近い売上げになったという。証券会社では、NISA対応のため、顧客分析を導入するケースが目立ったという。
吉田氏は、同社の半分以上の売上げを占めるアナリティクス分野市場について、企業が保有するデータ量が10カ月で2倍になり、データ保管コストがかかっているが、データの活用は進んでいない点、グローバルで予見力が必要になっている点、これまではサプライヤーが提供する製品の中から顧客が選択していたが、現在は顧客自身が自ら選択する顧客へのパワーシフトが進んでいる点を挙げ、より顧客分析が重要になっているとの認識を示した。
その上で同氏は、「アナリティクスにはお客様も非常に関心を持っており、基幹システムと同じくらい重要になっている。もはや、なくてはならないシステムになっている」と述べた。
吉田氏は同社の強みについて「BIは過去を見ているだけで、将来を予測できない」とBIとの違いを強調。「一部分では競合するが、完全なコンペティターとなるような企業は存在しない」と語った。
日本では、高価な分析ツールを導入しても、あまり活用されていないケースも目立つが、吉田氏はアナリティクスを成功させるのためのポイントとして、アナリティクスをビジネスプロセスに組み込むこと、明確な目的を持つことの2点を挙げた。
ビジネスプロセスに組み込むというのは、何かビジネス上の判断を行う際、過去の経験に基づく直感よりも、アナリティクスのデータを優先させることで、明確な目的とは、この部分のコストを減らしたい、ある製品の売り上げを伸ばしたいなど、具体的な目的をもってアナリティクスを行うことだ説明した。
2014年の注力分野については、マーケティング&ビジネス推進本部長 北川裕康氏が説明。同氏は、「Customer Intelligence」、「Visualization」、「Hadoop」、「Data Management」の4つ柱でビッグデータアナリティクスを推進すると述べた。
「Customer Intelligence」では、現在は店舗だけ、Webだけの分析ではだめなので、すべてのチャネルポイントから得られるビッグデータを分析し、パーソナライズを可能するソリューションを提供。
「Visualization」では、3月から4月にかけて、データサイエンティスト/プログラマ向けに「In-Memory Statics for Hadoop」という新製品を提供。 Hadoop環境内での対話型のプログラミング環境を提供する。
「Hadoop」では、分析ライフサイクルすべてにおいてHadoopとの統合を推進するという。
そして、「Data Management」では、「Hadoop」の統合やIn-Databaseによるデータ品質管理など、ビッグデータを効率的に管理する仕組みを提供するほか、センサーやスマートメーターなど、M2M分野の情報を分析するためのリアルタイムでのストリーミング処理を提供するという。