オリックス環境は2月26日、森下仁丹と共同し、森下仁丹が開発した「バイオカプセル」を活用して、電子基板などの固体廃棄物からレアメタルや貴金属を回収する実証実験を開始することを発表した。
森下仁丹が開発したバイオカプセルは、同社独自の「シームレスカプセル」技術を応用して、内部で微生物の培養増殖やDNAの増幅を可能にしたカプセルだ。外部の液中の養分が、合成高分子樹脂でできたカプセルの半透膜性の皮膜を通り、カプセル内に供給されると、カプセル内で養分を得た微生物や植物細胞が増殖を始め、高密度化していく。この時、排出される老廃物はカプセルの皮膜を通して、液中に放出される。この働きが繰り返され、カプセル内は、微生物や植物細胞で満たされる仕組みだ(画像1)。
さらに森下仁丹は、シームレスカプセル技術応用の一環として、レアメタルや貴金属の回収が可能なカプセルの開発に取り組み、カプセル内部に吸着剤や特定の微生物を高濃度で保持させることで、効率的にカプセル内部に非鉄金属イオンを取り込むことに成功している(画像2・3)。その状態でカプセルごと焼却することでレアメタルや貴金属を取り出すことも可能だ。
画像1(左):バイオカプセルの仕組み。液中の養分が半透膜性の飛膜を通してカプセルの中へ供給され、またカプセルの中の老廃物が飛膜を通して液中へ放出される。バイオカプセルを活用したレアメタル・貴金属の回収。画像2(中)は使用前のバイオカプセルの様子で、画像3(右)は使用後のバイオカプセル |
またオリックス環境は、廃棄物の収集・運搬および中間処理事業に加え、金属資源のリサイクル事業を展開しており、金属資源の回収から選別、加工、売却までの全工程をカバーできる体制を構築している。
廃棄されたテレビ、パソコン、携帯電話等に含まれる電子基板には、金やパラジウムなどの貴金属が含まれるが、微量のため既存のリサイクル方法では採算が合わず廃棄され、未利用資源が都市鉱山に埋もれている。特に近年では、電子基板中の貴金属含量は減少傾向にあり、さらに廃棄される電子基板は増加している。
このような背景のもと、両社のノウハウとインフラを活用し、効率的に貴金属資源を回収するバイオカプセル技術の実用化に向けた実証実験を行い、今後の事業化を目指していくとした。