ソニーは2月20日、レーザ走査方式を採用した独自の映像処理システムにより、HD(1920×720画素)解像度で、投影面との距離や角度に関わらず焦点が合うフォーカスフリーの映像投影を可能にしたピコプロジェクタモジュールを開発したと発表した。

ピコプロジェクタモジュール

フォーカスフリーのイメージ

現在、バッテリで駆動するピコプロジェクタに搭載されているモジュールは、パネル方式でVGA(640×480画素)やWVGA(800×480画素)の解像度が主流となっている。また、それらの多くは、投影距離によって焦点が合わない場合があるため、フォーカスを合わせたり、正面から投影する必要があるなど、使用上の制約がある。

同モジュールは、半導体レーザ、MEMSミラー、それぞれのドライバ、およびビデオ信号処理や映像出力を制御するビデオプロセッサから構成されている。光源には半導体レーザを使用し、そのレーザ光線をMEMSミラーで反射、制御することで走査して映像を投影する、レーザ走査方式を採用している。また、半導体レーザとMEMSミラーを高度に制御するビデオプロセッサーを開発したことで、バッテリ駆動のピコプロジェクタで主流のVGAやWVGAを上回る、HD(1920×720画素、アスペクト比16:9)解像度を実現した。さらに、レーザ光線は、集光性が高く直進性に優れていることから、投影面との距離や角度に関わらず焦点が合うフォーカスフリーの映像投影が可能。投影距離が1mの場合は約40型、3mでは約120型の大画面で美しい映像を投影できる。

そして、独自の光学技術により、レーザ走査方式の課題であるレーザスペックルノイズ(映像の斑点状のノイズ)の低減を実現したのに加え、従来のパネル方式と比べて、より広色域、高コントラストな鮮やかで美しい映像の投影を可能にした。この他、独自に開発した斜め画像歪補正回路の搭載により、投影面に対して斜めから投影すると台形などに歪む映像を、本来の長方形画面に補正することもできる。

今後、モジュールのさらなる小型化や高輝度化などの開発を進め、ピコプロジェクタやプロジェクタ機能を搭載した機器向けに商品化を目指すとしている。

ピコプロジェクタモジュールの主な構成