NTTデータエンジニアリングシステムズは2月18日、ファイナルオーディオデザインが発売するイヤホン「final audio design LAB I」への技術提供をしたと発表した。同製品は、独EOS製の工業用3Dプリンタを使用して出力することで、従来の工法では難しかった金属造形の完全一体化形状を実現した。音質面では、不要な振動を抑える一体形状で臨場感ある音楽再生が可能になるとしている。
同製品は、ファイナルオーディオデザインのWebページ上で2月28日より発売する。台数は全150台でその内の120台が海外分、30台が国内分となる。価格は16万円。
同社はイヤホンの設計段階から携わり、金属を材料とする3Dプリンタのノウハウを提供した。主に「造形方法の検証」「製造品質向上」「金属造形品の鏡面化」「設計支援」と4種類の提案を行ったという。
金属3Dプリンタで造形を作るには、まずコンピュータ上で3Dデータを2次元の輪切りのデータに変換する。次に3Dプリンタの内部に金属粉末を敷き詰め、レーザーを噴射して1層目を作る。この一連の作業を何度も繰り返すことで造形物が完成する。
今回特に力を入れたのが筐体の鏡面化だという。金属造形の場合、表面をきれいに出力するのは非常に難しいとされており、実際に最初の試作では表面がデコボコになってしまったという。そこで、何度も試作を重ねながらレーザー照射のパラメータを調節することで、表面の光沢感を実現できたという。
同社は、今回のイヤホン開発を通じて製品に特化した3Dプリンタのチューニングを進め、さまざまな金属造形への対応を目指すとしている。