2013年11月26日に、国際生体分子デザインコンテスト「BIOMOD2013」の帰朝報告会が開催された。遅ればせながら、2013年における日本チームの活躍の模様をお伝えさせていただく。

BIOMODは、今回で3回目となる、大学生チームによる分子デザインを競う国際コンテストだ。毎年米ハーバード大学で国際大会のジャンボリー(プロジェクトの発表会と表彰式)が開催されており、1回目から参加している日本は毎年優秀な成績で活躍している。BIOMOD2013は2013年11月2日に開催され、世界10か国・地域から26チームが参加し、その内で日本からは7チームが参加した。

学生チームそれぞれのプロジェクトは、詳細なプロジェクト内容をまとめたWebサイト(Wikipediaを利用)、プロジェクトを紹介するための3分間のビデオ(YouTubeを利用)、およびジャンボリーでのプレゼンテーションで評価される。もちろん、すべて英語で行う。

配点は、Webサイト50満点(アイディアについて20点、記述20点、達成度10点)、ビデオ25満点(インパクト10点、明確さ10点、完成度:5点)、プレゼン25満点(内容10点、発表10点、インパクト5点)の合計100点満点だ。採点を担当するのは、各チームの監督を務める研究者(大学教授など)が行い、基準は発想の面白さ、作成の完成度、発表のわかりやすさという具合だ。

なお、2012年の国際大会では、プレゼンは英語でスピーチできても、その後の質疑応答が厳しかったことから、今年はその点に力を入れたという。昨年から引き続いて参加している学生もいるが、基本的に大学1、2年生が主体なので、1回目、2回目で参加した学生たちの多くは、OB・OGとしてバックアップしている形なのだが、こうした部分はちゃんと先輩たちから後輩へと引き継がれてレベルアップが図られているというわけだ。

ちなみに英語は日本人が苦手とする部分は事実で、日本の名だたる大学の優秀な学生たちではあるが、やはり日本語を扱うほど上手にできる学生ばかりではないので、そこら辺は欧米のチームに比べると不利なところではある。しかし逆に日本文化というのは、欧米人にとっては非常に興味を持ってもらいやすかったりするので、日本人であるということが大きな武器にもなる一面もある。要は、長所と短所は表裏一体ということだ。

今年の日本勢で最も優秀な成績を上げたのは、総合で3位に入賞した東北大チーム(2012年は総合優勝を成し遂げた)。一定の刺激で連鎖的に崩壊して大量の薬物を放出するリポソームシステム「Lipo-HANABI」というプロジェクトだ。なお、総合のほかにもさまざまな表彰があり、結果は以下の通りだ。下の動画は、大会の模様をダイジェストにしたものだ(動画1)

動画
動画1。大会の模様

Top Prize(Wiki、YouTube、プレゼンの総合成績)

  • 1位:独・ルートヴィヒ・マクシミリアン大(DNA Diamonds)
  • 2位:独・ドレスデン工科大(Dresden Nanormous)
  • 3位:東北大(Team Sendai)

今年は、ドイツに1-2位を持って行かれた。やはり、ドイツは強敵である。以下は部門別の各賞。

Best Wiki

  • 1位:ルードヴィヒ・マクシミリアン大
  • 2位:ドレスデン工科大
  • 3位:東北大

Best YouTube

  • 1位:ドレスデン工科大
  • 2位:東北大
  • 3位:東京工業大(Team Platanus Symphony)

Best Presentation

  • 1位:デンマーク・オーフス大(Nano Creators)
  • 2位:東京大学‐柏(Todai nanORFEVRE)
  • 3位:東北大

以下は特別賞。

Audience Favorite(観客賞:学生も含めた会場全員による投票)

  • 1位:オーフス大
  • 2位:東大‐柏
  • 3位:ドレスデン工科大

MOLBOT Award(分子ロボティクスの観点で選ばれる、日本の分子ロボティクス研究会が提供する賞で、審査員全員による投票)

  • 東大‐駒場(UT Komaba)

Best T-shirt Award(Tシャツ賞:学生も含めた会場全員による投票)

  • 東工大

また、それ以外にも上位のチームにはゴールドメダルが与えられるのだが、東北大、東大-柏、東大-駒場、東工大、関西大(関大)が獲得。そのほか、初参加の北海道大学(北大)がシルバー、同じく初参加の福岡工業大学(福工大)がブロンズをそれぞれ獲得した。