日清エンジニアリングは1月29日、電子回路基板の高性能化や小型化に対応する「亜酸化銅ナノ粒子」の製造に成功したと発表した。

近年のスマートフォンやタブレットなど向け電子回路基板は高性能化・小型化への対応に伴う配線の微細化に対する要求が高まっており、対応手法として金属ナノ粒子を用いたナノインクによるインクジェット印刷技術やスクリーン印刷技術などの実用化が研究されている。

現在、採用されている印刷技術としては、銀ナノ粒子が良く用いられているが、微細な配線に電流を流すと金属原子が移動して断線や隣接する配線にショートするリスクがあるため、配線の径や間隔に限界があった。また、ここ数年、銀の価格が高騰しており、コスト的な問題も生じていた。

そうした課題の解決に向け同社ではこ銅ナノ粒子の実用化に向けた研究を行ってきたが、銅ナノ粒子は大気中で酸化しやすいことから、一般的には保護剤などを添加した溶媒中でしか製造できなかったが、保護剤は製造過程で不純物となるため、導電性の低下の要因となり、実用化が困難であったことから、今回、そうした課題を克服する手法として、耐酸化性に優れ、還元雰囲気で容易に金属銅になる「亜酸化銅ナノ粒子」を開発したという。 亜酸化銅ナノ粒子は、銀ナノ粒子に比べ、マイグレーション耐性があるほか、酸化物であるため大気中でも安定しており、還元雰囲気下で容易に金属銅となるため印刷用インクの原料として容易に取り扱うことが可能という特徴がある。また、ナノ粒子であるため、還元雰囲気中の低温焼成が実現でき、電子回路基板の熱による損傷を抑えることも可能だという。

なお、同社では、ICなどの回路基板に使用される配線材市場は今後拡大していくことが見込まれていることから、「亜酸化銅ナノ粒子」が超微細配線用の印刷用インクとして採用が進むことで、スマートフォンやタブレットの高性能化、小型化を図ることができるようになることから、積極的な販売活動を進めて行くとしている。