住友スリーエムは1月29日、従来の等方性が低いという課題を克服し、高い熱伝導率と等方性を兼ね備えた粉末状の六方晶窒化ホウ素「BORONID熱伝導フィラー」の国内向けサンプル出荷を開始したと発表した。

今回サンプル出荷を開始したのは同製品の2グレードで、3M子会社の米セラダインが開発した独自の加工技術により形状と粒径を新たにコントロールし、アスペクト比も小さくした六方晶窒化ホウ素となっている。

添加することで等方性に優れた高い放熱特性を樹脂成形品に付与できるため、たとえば金属製蓄熱部品の原材料を樹脂へ切り替えることが可能となる。これにより蓄熱部品を軽量化できるほか、加工しやすくなることで設計の自由度を高めることが可能となるとのことで、そうした自動車に用いられる各種蓄熱部品、LEDや電子機器関連をはじめとした樹脂成形品向け添加剤としての利用を推進していく方針としている。

なお同社では、今回のサンプル出荷を皮切りに、セラダイン製品の高機能セラミックス製品の国内販売を本格的に進めていくとしている。

「BORONID熱伝導フィラー」のグレード「Platelets」。形状は板状で、粒径(メジアン径:μm)は1~15、アスペクト比は約30、製品数は8種類

「BORONID熱伝導フィラー」のグレード「A」(サンプル出荷品)。形状は鱗片状で、粒径(メジアン径:μm)は50~500、アスペクト比は約7、製品数は1種類

「BORONID熱伝導フィラー」のグレード「B」(サンプル出荷品)。形状は凝集状で、粒径(メジアン径:μm)は30~400、アスペクト比は約1~2、製品数は6種類