データ偏重ではなく根拠としての有効活用、その突破口としてのクリエイティビティ

IMJ ディレクター夏目氏

夏目氏は、2006年にIMJ入社以来、ディレクターとしてPCやガラケー/スマホなど、多くのWebサービス構築に携わる、IMJでも気鋭のクリエイターのひとり。現在はクリエイティブディレクション室のメンバーとして、Web制作に捉われない動きを見せ、IMJが提供するサービスやプロモーションなどの設計フェーズから手腕を奮っている。

そんな同氏が自ら手掛けた事例をもとに、先に田米氏が触れたデジタルマーケティングにおけるクリエイティビティの発現の仕方や、NPS活用によるロイヤルティーマーケティングの有効性について、事細かに解説してくれた。

しかし、今回のイベントタイトルにもあるように「こっそりと」ということで、クローズド前提でのトピックがほとんど。ここでは具体的なクライアント名を出せないのはもちろん、それをイメージさせるような内容もオープンにできないため、残念ではあるが省略させていただく。当日参加したWebクリエイターたちだけが、リアルな状況も含め知れたわけだ。今後のマイナビ主催のCCL情報は漏らさずチェックしておくことをおススメしたい。

とはいえ、現役IMJディレクターの貴重な講演。その雰囲気だけでも少しお伝えしておこう。

まず、商品の認知度の方が企業認知度よりも高いあるメーカーで、いかに無関心・無感動・価格重視のユーザーマインドを価値重視に転換できるかという取り組みについて。このシチュエーションで同氏はNPS活用によるロイヤルティーマーケティングを活用。ユーザーの支持要因のひとつ、便利で役立つ商品の提供というイメージをよりふくらませていくために、「双方向のコミュニケーションの場を創出し、接触頻度を高めていく目的で独自のキャラクターを生み出してみました」と、顧客対話能力の開発につなげていったそうだ。愛嬌あるキャラクターをWeb上で活躍させたのはもちろん、SNSとの連携などで積極的に顧客とのコミュニケーションの窓口役としてディレクションしていった。結果、「商品切り口から紡ぎ出していったファンにコーポレートブランディングを仕掛け、メーカーのファン層拡充へと導けましたね」とのこと。

これは、NPSというデータ×メソドロジーから、コンテンツとクリエイティビティの力によって、より大きく企業価値を飛躍させた成功例として、実に説得力のあるプレゼンテーション内容だった。「メンバー間で様々なアイデアを出し合い、エビデンスに基づいていかにクライアントの求める着地点に導くか、それも最大限の効果と共に、という、簡単なミッションではありませんでしたが、IMJが持つデータ×メソドロジーの手法と、私たち制作サイドのコンテンツづくりの力とクリエイティビティの力が、うまく噛み合ったパターンでした」と、笑顔で振り返っていたのが印象的だった。

予定の1時間30分を少し超えるセッション。その中身は実に濃密なものであった。それだけ、両氏のディスカッションが的を得たものであり、実践的に参考にできる貴重なものとして参加者に刺さったのだろう。その後開かれた参加者との懇親会でも、熱心な参加者が両氏を取り囲んでいた。ビジネスで接点でもない限り、なかなか会うことができない現役ストラテジストとディレクターとの会談で得たものを、今後の仕事や作品創りに活かしてもらえれば、CCLを主催するマイナビのスタッフたちも嬉しい限りだろう。

【Creator’s Career Lounge(CCL)web vol.4】は、『(#cclweb 【vol.4】アクセス解析体得セミナー~成功・失敗事例を通じて学ぶアクセス解析。ライブ解析もやります!~』と題し、2014年2月17日(月)にマイナビルームで開催が予定されている。詳細や申し込みは、1月17日(金)に公開予定とのことなので、是非、興味のある方はCCLのWebサイトを確認して欲しい。