古河電気工業(古河電工)は11月21日、小型かつ薄型でフレキシブルな電力伝送部を特徴とするワイヤレス電力伝送システムを開発し、実証実験に成功したと発表した。

同技術は、高圧電力ケーブルや放送用アンテナなどのブロードバンド関連製品を通じて、開発してきた高電圧技術と高周波技術を応用したもの。電圧駆動で電力を伝送し、高周波化することで、送電部・受電部の小型化を図り、システム全体を軽量かつ小型化した。さらに、電力伝送部へ金属片を含む異物が侵入・付着しても、原理的に異物を誘導加熱することがなく、焦げたり燃えたりすることがないため、安全なシステムが構築できる。また、電力伝送用電極を薄型でフレキシブルな導電性材で構成し、電極を搭載する機器の意匠性の向上や小型・軽量化を図ることができる。

実証実験では、アルミ製で約200mm角、重量200g以下の電極で、1kWの送電に成功した。伝送距離は50mm以上、伝送効率は90%以上、伝送周波数は27.12MHzを実現している。2014年度には、3kWクラスの電力伝送が伝送距離300mmまで可能になると見ているという。

今後は、同システムを無人搬送車やロボットなどといった産業用途への適用を皮切りに、家庭向けで普及すると考えられている介護ロボットなどを含めて、幅広い充電システムへの参入を目指し、実用化に向けた検証実験を進めていくとコメントしている。

古河電工が開発したワイヤレス電力伝送システム