セイコーエプソンは11月5日、生産現場の自動化領域を拡大できる、見て、感じて、考えて、働く「自律型双腕ロボット」を開発したことを発表した。また、併せて、組立・搬送作業などの自動化に適したスカラロボット(水平多関節ロボット)「Hシリーズ」の新型「H8」(可搬重量8kgモデル)の受注を2013年11月より開始すると発表した。
自律型双腕ロボットは、生産現場における作業レベルの難度やコストの制約により、人手作業に頼らざるを得ないとった課題の解決に向けて開発されたロボット。人間の目と同じように、3次元空間上で対象物の位置・姿勢を正確に認識できる機能を有しているほか、新開発の力覚センサを搭載した2本のロボットアームが、人の手と同じように力をコントロールし、対象物にダメージを与えることなく組み立てや搬送などの作業を行うことを可能としている。また、アームの先には、さまざまな形状・大きさの対象物を「握る、つかむ、挟む」ことで把持できる多目的ハンドを標準装備しているほか、対象物と作業シナリオを教示するだけで、さまざまな作業に対応させることが可能となっている。
さらに、一般的な産業用ロボットのように装置に組み込み、固定して作業を行うのではなく、単独で人に代わって組み立てや搬送などの簡単な作業を行えるように開発されたことから、対象物と作業シナリオを教示するだけで、ロボット単独で自律的に判断し、さまざまな作業に対応可能。そのため、自動化経験の少ない生産現場でも導入・管理が容易で、周囲との衝突リスクや、部品や道具の持ち替えを指示しなくても、自動的に衝突の回避や対象の持ち替えを行うことも可能だという。
加えて、生産ラインへのロボット導入にあたり従来必要だった、専用の高価な道具や複雑な周辺機器を用いずに、人が使う低価格で種類も豊富な道具をそのまま利用して作業が可能なほか、3次元空間上で対象物の位置・姿勢を正確に認識する機能を有しているため、ロボットの設置場所を変更しても即座に作業を開始することが可能という特徴があり、日々異なる場所でさまざまな作業をさせるなど、急な生産体制の変更にも柔軟に対応することが可能になっているという。
一方のH8は、独自の「スマートモーションコントロールテクノロジー」を活用し、小型・軽量でありながら高速・低振動を実現しているほか、クリーンルームでの使用やESD(静電気放電)に対応したフラグシップモデルで、従来のスカラロボット「G6」と比較して、高速モードではサイクルタイムの20%削減が可能となったほか、低振動モードではさらなる振動低減を実現したという。
また、高さ580mmながら、重量は20~21kgと450mm~650mmアーム長のスカラロボットとして最小・最軽量クラスを実現しているため、省スペースで柔軟な配置による生産ラインの設計に貢献することが可能だという。
なお、同社では自律型双腕ロボットを2015年度内の商品化する予定としているほか、Hシリーズに関しては、今後さらにラインアップを拡充していく方針としており、カスタマの生産現場に貢献していきたいとしている。