IDC Japanは10月24日、国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表した。2013年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は、前年比39.4%増の1,321億になる見込み。同市場は拡大を続け、2017年の市場規模は2012年比3.6倍の3,376億円になると予測している。

国内パブリッククラウドサービス市場 セグメント別売上額予測(2012~2017年)

多くの企業は、「早い」「安い」「拡張性/縮小性」「先進機能」といった優位性だけではなく、構築/運用上の課題も含めて、パブリッククラウドサービスをよく理解している。これまでは、クラウドという未知の分野に対する"畏怖"といった心情的な拒絶反応から、"導入不可の理由"を明示するために情報を収集する企業も多く見られた。しかし最近では、課題があることを理解した上で、「課題の解決」や「導入条件の整理」を核として検討を進める企業が増加している。

パブリッククラウドサービスは、日進月歩で発展している。例えば、IaaS(Infrastructure as a Service)の場合、ロードバランサー、オートスケール、バーチャルプライベートクラウド(VPC)/セキュリティグループといった機能が、標準的に提供されている。これらの機能は、2~3年前ではほとんどのIaaSには実装されていなかったものだ。またSaaS(Software as a Service)では、サービス内の機能が拡充されただけでなく、第三者が提供するアドオン機能(コラボレーティブSaaSに対するワークフロー機能など)が急速に充実している。こうした進化が、パブリッククラウドサービスの普及を促進し、利用領域の増加に貢献しているという。

サービス機能の拡充とパブリッククラウドサービスの導入事例の増加はベストプラクティスを創出し、ユーザー企業における支出の最適化を促す。例えば、性能に対する懸念から必要以上に大きな、あるいは多くのインスタンスを利用してきたユーザーやSIパートナーは、構築/運用のノウハウを蓄積し、クラウドの特徴である「迅速性」「拡張性/縮小性」を生かして、最適化を進めている。

これまでの国内パブリッククラウドサービス市場は、自身が有する「迅速性」「拡張性/縮小性」「コストの最適化」という価値によって成長してきた。現在では、これらの価値に加えてクラウドパートナーが提供する機能/サービスが、ユーザー企業の導入障壁を下げると共に、クラウドの付加価値化を促進している。

IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの松本聡氏は、「国内クラウド市場では、パートナーエコシステムがベンダーの競争力に与える影響力が高まっている。ベンダーはパートナーエコシステムを活性化するために、多様な施策を実施する必要がある」と述べている。