日本マイクロソフトは10月18日、Windows 8.1パッケージ版の提供を開始した。また、ハードウェアパートナー各社からも、Windows 8.1を搭載したPCやタブレットが同日より販売開始となる。日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口 泰行氏は記者会見の冒頭、「Windows 8.1は8から0.1上がっただけではなく、相当な機能向上を果たしている」と語り、Windows 8.1の完成度に自信を見せた。
樋口氏は「従来は3年程度のスパンでメジャーリリースを行い、セキュリティアップデートや、わずかな機能改善を図るサービスパックを提供していた。Windows 8.1からはラピッドリリースを行っていく」とも語り、今後も1年程度の短いスパンでOSをアップデートし、デバイスやサービスのトレンドに合わせたOSの提供を行っていく考えを示した。
また、「日本向けに最適化された機能の提供や、日本のベンダーが開発したテクノロジーを搭載したPCが今後、市場に登場する。Windows 8.1は8インチ級のタブレット端末でも利用しやすいUIを備えるなど、あらゆるニーズに応えることができる。『スマートデバイスでできることは意外と少ないんじゃないか』と消費者が気付き始めている中で、色々"できる"Windows 8.1搭載デバイスを多数用意できた。是非Windows 8.1を体験してほしい」(樋口氏)とも語り、急進するタブレット端末市場でWindows 8.1搭載タブレット端末がのキラーデバイスになりうる期待感を示した。
ユーザーの声に耳を傾けて改善
続いて、日本マイクロソフト 業務執行役員 Windows本部 本部長の藤本 恭史氏がWindows 8.1の機能説明を行った。
藤本氏は初めに、ロック画面においてもWindows 8.1によって機能が向上していると解説。「8ではロック画面に好きな画像を一枚表示することしかできなかったが、8.1ではタイル状に複数の画像をシャッフルさせて表示できる。しかも、この画像はローカルだけではなく、SkyDriveにアップロードしたものも混在できる。ちょっとしたことだが、クラウドパワーがWindows 8.1に組み込まれている」(藤本氏)
スマートデバイスでは、ロック画面でロックを解除することなく、カメラを瞬時に起動できる機能が主流となっているが、Windows 8.1も、この機能に対応。ロック画面で下にスワイプするだけで写真撮影が可能になる。
Windows 8で導入されたスタート画面でも細かな改善点がいくつも存在する。8では、スタート画面に表示されるライブタイルのサイズが大小2パターンしかなかったものの、より大きいタイルと、極小タイルの2サイズが追加される。これは「8インチタブレットからデスクトップパソコンまでデバイスが多様化する中で、どのサイズでも見やすくできるように改善した結果」(同氏)だという。
ほかには、スタート画面の背景として動くプリセット背景が追加されるほか、自分の好きな写真も設定することができるようになった。「8ではスタート画面の背景に写真を設定することができず、デスクトップから遷移したときに違和感を覚えたというユーザーの声をいただいた。デスクトップと同じ背景を設定することで、違和感なく利用していただけるようになったと思う」(同氏)
また、新たにアプリケーションをインストールした際に、自動的にスタート画面へライブタイルが追加されていた8の仕様を変更。自動追加機能をなくした上で、アプリ一覧から使いたい機能だけを自分で追加するようにした。アプリ一覧の出し方も、スタート画面で上にスワイプするだけと単純化している。
Windowsユーザー待望のスタートボタン復活
Windows 8.1最大のトピックスは、なんといってもスタートボタンの復活だろう。新機能説明の冒頭から繰り返していた「ユーザーの声を聞いた」という点では一番注目を集めていたスタートボタン。ただ、ボタンは復活したものの、ツリー構造のスタートメニューは実装されていない。
藤本氏は「スタートボタンは復活しても、メニューが復活しなかったことには理由がある」と語る。ユーザーの利用動向を長年にかけて調査した結果、多くのユーザーが「スタートメニューは何年も同じPCを利用していると使わなくなることが分かった」のだという。よく利用するアプリのショートカットをデスクトップに置いたり、タスクバーにピン留めして利用することで、スタートメニューの利用頻度が減るようだ。
それを踏まえた上で「スタート画面は、スタートメニューを洗練させて再構成したもの。利用頻度の高いショートカットを綺麗に配置できるし、タイルのライブ機能は動的な通知も実現している」(同氏)とし、スタート画面のメリットを強調した。
ファンダメンタルを強化し、表層だけではない真の強さを見せるWindows 8.1
Windows 8より導入されたユーザーインタフェースとして、スナップ機能がある。タッチ対応に最適化されているWindows 8アプリを分割してマルチタスキングを実現する機能だが、Windows 8では分割の割合が固定されており、自由に大きさを変えることができない制約があった。
Windows 8.1では、分割の割合を自由に変更することができ、2分割止まりだったアプリの同時表示数が4分割まで表示可能となる。「マルチタスキングを最大限に活用できるのはWindowsならでは。ほかのタブレットでは実現しえない機能だ」と藤本氏は胸を張る。
細かい機能追加では、OSベースでMiracastをサポートし、Wi-Fi経由でテレビなどへのミラーリングが可能になる。日本向けの独自実装としては、唯一の国内向けWindows PhoneであるIS12Tにも採用されている「游ゴシック」「游明朝」のフォントを搭載している。
様々な機能追加を詳細に説明した上で、最後に藤本氏は「セキュリティやパフォーマンス、デバイスの管理機能と行ったファンダメンタル(基礎部分)も十分に強化している」と話し、8.1へバージョンアップすることが、UI以外の面でも生産性の向上に大きく寄与することを力強く語った。
また、改めて最後に登壇した樋口社長は「何度も申し上げているが、Windows XPのサポートは来年の4月9日をもって終了となる。Windows 8.1を搭載した魅力的なデバイスへと移行していただけるよう私たちも頑張りたい」と締めくくった。