東芝ソリューションは、東芝と共同開発した「鉄道輸送計画ICTソリューションSaaS(TrueLine)」の運用を、東京臨海新交通臨海線(以下、ゆりかもめ)にて10月1日より開始したと発表した。これによりシステム導入にかかるコスト負担を軽減し、震災以降高まる交通機関としての事業継続計画(BCP)の準備、事前対策もあわせて実現する。

「鉄道輸送計画ICTソリューションSaaS」は、東芝ソリューションが持つWeb技術とセキュリティ技術、データセンタ運用ノウハウをあわせクラウドサービスとして提供することにより、顧客のシステム維持管理が不要で、高信頼、低コストでサービスを実現する。

今回、「輸送計画システム」をクラウドコンピューティング化し、ファーストユーザとしてゆりかもめに提供した。

「鉄道輸送計画ICTソリューションSaaS」では、運転曲線作成サービス、基本ダイヤ作成サービス、乗務員/車掌運用作成サービス、車両割当作成サービス、構内作業計画作成サービス、GIS運行監視サービスを提供する。

ゆりかもめが運用を開始した"運転曲線作成サービス"は、列車のダイヤを検討する上で基準となる運転時分を求める重要なもので、地上設備条件(曲線、勾配、トンネル等)や車両条件(編成、電動機、ブレーキ性能等)をもとに、速度・ブレーキ等の条件を入力し、自由度の高い画面操作で運転曲線を作図することで、駅間の走行状況をグラフで表示するもの。

「車両編成作成画面」イメージ

「ランカーブ描画」イメージ

ゆりかもめで採用されている車両は、鉄輪ではなくゴムタイヤを採用しているため、運転理論において必要となるブレーキ抵抗などの係数が通常と異なるにもかかわらず、同サービスを使用して実測データを基に新たに計数の算定を行うことで、実態に近い作図が可能になる。この結果、鉄道以外の事業者に対しても悪天候時の走行や地上設備側の改良など様々なシミュレーションに活用することが可能になる。また、エネルギー消費量も算出できるため、エネルギー削減量の予測ができ、別サービスの「基本ダイヤ作成サービス」と連携することにより、省エネダイヤも実現する。

「運転曲線・ダイヤ作成・車両運用作成を統合した統一データベース」イメージ

今後、東芝ソリューションは東芝と共同で、鉄道事業者に向け「基本ダイヤ作成サービス」「乗務員/車掌運用作成サービス」「車両割当サービス」「構内作業計画サービス」「GIS運行監視サービス」を含めたトータルな輸送計画システムを提案していく。