岡山大学は10月16日、酸化チタン光触媒薄膜に紫外光を照射すると水中下で超撥油性を示すことを見出し、酸化チタン光触媒フィルタにより、省エネルギーで効率よく油と水を分離できることを実証したと発表した。
同成果は、同大 環境管理センターの三宅通博 教授(大学院環境生命科学研究科 無機機能材料化学研究室)、同 大学院環境生命科学研究科の亀島欣一 准教授、西本俊介 助教、澤井雄介 大学院生、岡山県工業技術センターの藤井英司研究員らによるもの。詳細は、米国化学会オンライン科学雑誌「Langmuir」に掲載された。
今回研究グループは、酸化チタン光触媒薄膜に紫外光を照射すると、従来から知られていた大気下での超親水性に加え、水中下でも超撥油性を示すことを発見。
実験として、金属チタンメッシュを熱処理することで表面に酸化チタン皮膜を形成させたフィルタ(孔径:150μm)に、紫外光を照射した後、油と水の混合液を流したところ、水はフィルタの穴を通過するのに対して、油はフィルタ表面の水膜に疎外されてフィルタを通過することができず、溶液の重力のみで瞬時に油と水を分離できることを確認したという。
なお、研究グループでは、今回の成果について、重油の海洋流出などでは、高効率な油水分離技術が求められるが、今回開発された技術を活用することで、省エネルギーで油水分離を行うことが可能になるとするほか、金属チタンフィルタ表面を熱処理することで酸化被膜を形成したものであるため、フィルタそのものも軽量かつ高耐久性を実現していることに加え、被膜の機械強度および密着性も良好であることから、新たな油水分離膜として活用されることが期待されるとコメントしている。