ロームは9月30日、電力線搬送通信「HD-PLC」inside規格に準拠するベースバンドICの基本設計を完了させたと発表した。
近年、HEMS、BEMSやHANのように、家電などの機器をネットワークに接続することで、エネルギー管理や遠隔操作など、利便性の高い生活シーンを創造する動きが活発になっている。一方で、無線には、セキュリティ面や混信に対する懸念や、鉄筋コンクリートや金属フレームを使用した建築環境下で通信品質が低下するといった課題がある。これらの課題を補い無線と共存関係を築ける通信手段として、有線の電力線ネットワークを活用する「HD-PLC」がある。ロームでは、2012年に「HD-PLC」のアライアンスに参画し、新規格「HD-PLC」insideの実現ためにグループ内の技術を結集してきた。そして今回、「HD-PLC」insideに準拠するベースバンドICの基本設計を完了させた。
同ICは、「HD-PLC」insideのベースバンド処理に加え、ARM7TDMIを内蔵しIC内でのプロトコル処理(TCP/IP)を可能にしている。このため、セット製品の既存システムの大幅な変更を必要とせず、「HD-PLC」導入における開発負荷を軽減することができる。また、スマートハウスの通信規格であるECHONET LiteミドルウェアやSSL(暗号化)にも対応することができる。さらに、間欠動作機能を内蔵することで、モジュール状態の受信待機時では、従来のPLC規格のおよそ1/30になる低消費電力通信が可能となっている。
なお、サンプル価格は2500円。2014年3月より拡販用のサンプル出荷を開始し、2014年6月より月産10万個体制で量産を開始する予定。生産は、前工程がラピスセミコンダクタ宮城、後工程がROHM Electronics Philippinesにて行われる。