いよいよ明後日に迫ったiPhone5sならびにiPhone5cの発売日。iPhone5sは入荷量が極端に少なく、人気カラーはしばらく入手困難になり得ると米国の複数のメディアが報じているなど、予約を受け付けていないiPhone5sに関しては発売当日、各販売店で争奪戦になることも予想されている。今回は、そんなiPhone5sならびにiPhone5cのデザインについて、グラフィックデザイナーのくすきはいねに話を聞いた。

――今週発売されるiPhone5sとiPhone5cのデザインについてどう思いますか?

iPhone5sの「進み続けるもの。」というコピーが気に入りました。アルミニウム製のボディがとても美しくていいと思います。色はゴールドがいいなと思いましたが「スペースグレイ」というネーミングも素敵ですね。

iPhone5cに関しては「つなぎ目」のないことがこんなにも美しいのか、と感じました。 まるで何年も使い込んだか物のようにしっくりと手に馴染みそうですし、プラスチックをプラスチックと感じさせない新たな質感があるのではないかと楽しみにしています。

――ほかのスマートフォンとはどのような違いを感じますか?

ほかのスマートフォンを使ったことがないので断言できませんが、ムダなものが少なくていいな、と。デザインしかり、機能しかり。iPhoneを使い始めた当初はお財布ケータイが使えないことに絶望感を抱きましたが、それもそのうち馴れました(笑)。使っている人が多いこともあって、ケースや表面用フィルムとかそういったアクセサリーパーツの選択肢が幅が広いのも魅力ですね。とはいえ、4sのときはケースすら使っていなかったのが実情です。

iPhone5s(左)ならびにiPhone5c(右)のWebページ

――ご自身がクリエイターだからこそ感じる、iPhoneのデザインへのこだわりはありますか?

「機能」と「美しさ」がどこまでデザインとして同居できるか、ということじゃないでしょうか。「デザイン美」ってすごくむずかしい。オシャレにすればするほどわかりづらい、使いづらい、なんてのはよくある話で。

現状のiPhoneでも年配の人やいわゆる「メカ音痴」と呼ばれる人に「使いやすいものか」というと疑問はあります。そんな中で最大公約数ギリギリの、ぎりっぎりのラインで「どこまで削ぎ落とせるか」というのがiPhoneのこだわりなんじゃないでしょうか。

――今後、どのようなデザインのiPhoneが出てきたら面白いと思いますか?

クリエイターって、実際のところPCや周辺機器もMacを使ってる人が多いと思います。わたしの場合、オフィスの作業用にiMac、持ち運びようでMacBook Airを使いますし、撮影の仕事が入ればもちろん一眼レフです。そうなった場合、正直iPhoneは「電話とメールができて、簡易カメラ付き。ネットがサクッとみれればそれでいい」というのが本音。アプリとか資料の編集機能とか、高性能カメラとかいらない。ここはひとつ、もう一度デザインのみにこだわりぬいた超薄型軽量iPhoneを希望します。

――iPhone以外にもアップル社のデバイスのデザインに関するイメージを教えて下さい。

「デザインというブランド」を維持していくことの難しさ、ですね。ひとりで商品を作り続けているわけではなく、何千、何万人という人間で「Appleらしさ」というのを創っていくのって本当に大変だと思います。Appleにはいつだっていい意味でクリエイターを裏切り続けてほしいわけで。

そういう意味で今回のiPhone5cの5つの色を決定するにあたり、どんな紆余曲折があったのか興味がありますね。個人的にはAppleの創るものはいつだってホワイトかシルバーであってほしい、という思いはありますけれど。

コトバ&グラフィックデザイナー くすきはいね
広告デザインやロゴ、カフェのプロデュースなど、多方面にわたる「デザイン」を手掛ける。