大日本印刷(DNP)は、3Dメガネと3Dプロジェクターを活用することで、透視体験ができる新映像システムを開発したと発表。青森県立美術館で9月14日より開催される企画展「吉村作治のエジプトと古代文明展~太陽の船と七大文明~」にて、女子美術大学と協力し、本システムの実用化に向けた実証実験を行うという。

システム構成の模式図

今回発表されたシステムは、立体物に映像を投影する"プロジェクションマッピング"の技術と、左右の目の視差を利用することで平面的な画像が立体的に見える"立体視"の技術を組み合わせたもの。3DCGで作成した映像を3Dプロジェクターで展示物に投影し、その映像を3Dメガネで見せることで、"展示物"と文字や映像による"付加情報"の一体感を高めることが狙いとなっている。

今回予定される企画展では、展示物の近くに人間の位置や動きを認識する距離画像センサーが設置されるため、利用者は3Dメガネをかけて、会場に設置されたピラミッド模型(実物の100分の1サイズ)に向け腕を伸ばし指さすだけで、指さした先のピラミッド表面が半透明になり、内部の通路や部屋などの構造物を立体的に透視することができるという。

同社はここで「ピラミッド表面に映し出した映像で内部を透視している実感を利用者が得られるか」「内部の立体的な構造を正確に把握できるか」といった透視の効果や、「指さしする利用者がどれだけ思い通りに見たい部分をコントロールできるか」「その操作方法を理解して簡単に使用できるか」といった操作感を検証していく予定だ。

近年、博物館や美術館、企業のショールームなどでは、タブレット端末やプロジェクターと、AR(拡張現実)やMR(複合現実)などを組み合わせ、展示作品や製品の理解を深めるシステムの導入が増えている。しかし、内部構造が特徴的な展示物の場合、2次元の表現だけでは十分な効果を得られないため、展示物の大きさや位置に合わせて内部構造を立体的に表現できる、臨場感のある映像システムが求められていた。本システムはこういったニーズに応えるもので、同社は今回の検証を通して本システムの有用性や課題を見極め、2014年の実用化を目指したいとしている。