前回のレポートで、「早ければ8月30日の打ち上げも」と書いたのだが、記事を掲載したあとに宇宙航空研究開発機構(JAXA)から連絡があり、8月中の打ち上げは無くなったことが明らかになった。これを受け、筆者も現地から撤退することにしたのだが、掲載機会がなかった写真や動画などを少し紹介して、今回の内之浦レポートを終わりにしたい。

当日プレスに配布された「性能計算書」。これについて詳しくはコチラを参照のこと

安全確保のため、プレス見学席は射点から3km近くも離れてしまっているのだが、より近くから撮影できる方法として、内之浦宇宙空間観測所の「衛星(ほし)ヶ丘展望台」に無人カメラを設置することが許可されている(事前申請したプレスのみ)。射点からの距離はわずか数100m。上から見下ろすことができる、絶好のロケーションだ。

「衛星(ほし)ヶ丘展望台」からの展望。通常の日は一般にも解放されている

打ち上げ予定日の射場。ここからイプシロンが飛び立つ予定だったが…

イプシロンを乗せて運ぶランチャー。作業員と比べるとその巨大さが分かる

新設された煙道。燃焼ガスを海側に逃がして、衛星の乗り心地を改善する

種子島から移設された空調移動車。フェアリング内の温度・湿度を維持する

射点の近くにあった良く分からないもの。イプシロンのダミーだろうか?

筆者は今回、ここにデジカメを置いて、動画を撮りっぱなしにしておいた。カメラの設置時間が当日8:30~9:30、そして打ち上げウィンドウが13:45~14:30なので、6時間以上撮影できれば大丈夫な計算になる。外付けバッテリと32GBのSDメモリを用意して、8時間録画可能な体制を整えた。

しかし、打ち上げが中止になってしまい、この8時間動画はランチャーが出て戻るだけの地味な存在になってしまったのだが、一部の方(※2名)から要望を頂いたので、ランチャーの旋回とカウントダウンの部分だけ切り出して公開することにしたい。

ランチャーが旋回してイプシロンが姿を現すシーン

カウントダウンが進行してゼロになるも発射せず

打ち上げが中止になり、イプシロンを再び整備塔に戻す

一方、こちらはプレス見学席で撮影していた動画だ。打ち上げ30秒前くらいから周囲のカメラマンが連写を始め、シャッター音がうるさくてカウントダウンがまったく聞こえなかったのだが、カウントがゼロになっても点火せず、現場は騒然となった。

プレス見学席からの映像。周囲のシャッター音がすごい

ところで、気になるのは今後の見通しであるが、JAXAは本日(8月30日)、打ち上げ中止の原因調査状況に関する記者会見を予定しているので、そこでより具体的なことが分かるだろう。イプシロンについては、今後も継続して取材を行っていくので、引き続きマイナビニュースにご注目いただきたい。