米政府は8月3日、米Appleと韓Samsungの特許訴訟で、米国際貿易委員会(ITC)の判定に基づくApple製品の輸入禁止について拒否権を行使を発表した。輸入禁止令に対する拒否権行使は1987年以来のこと。
AppleとSamsungの2社はスマートフォンやタブレット分野で特許訴訟を繰り広げており、ITCもその一つとなる。
2011年にSamsungは5件の特許をAppleが侵害しているとして、ITCで提訴。ITCは初期判定を経た後の2013年6月に、1件の特許をAppleが侵害しているとしてSamsungの主張を認めた。特許番号は7,706,348で、CDMA通信に関するもの。この判定の下で、ITCは該当するAppleのモバイル端末(「iPhone 3」「iPhone 3GS」「iPhone 4」「iPad」「iPad 2」の各製品のAT&T向け機種)の米国への輸入と販売を禁じる差し止め令を下した。
差し止め令は今週にも施行に入ることになっていたが、米通商代表部は直前といえる8月3日に拒否権の行使を発表した。米国経済における競合状態への影響、米国消費者への影響を考慮してのことで、必須技術特許(FRAND)を利用した競合企業の製品差し止めへの懸念も挙げている。拒否権行使という判断はITCの判断を支持あるいは批判するものではなく、Samsungは引き続き法廷で自社の権利を追求できると記している。
Wall Street Journalら米メディアによると、輸入禁止令に対する拒否権行使は1987年以来のことという。