ライバル的なロボットキットについて

--:価格的な話が出ましたのでおうかがいしたいのですが、近い価格帯のホビーロボットキットで、コンセプト的なものも含めてライバルになりそうな製品はありますか

石渡氏:価格的な点からいったらヴイストンが国内で代理店をしている「RQ-HUNO(アールキュー・ヒュノ)」や共立電子の「プチロボXL」とかありますけど、方向性が違いますね。教育用途というコンセプトだと、アルデバラン・ロボティクスの「NAO」や富士ソフトの「PALRO」などがそうでしょうけど、価格がまったく違いますね。インテリア的な使い方をするのであればデアゴスティーニの「ROBI」などになるかと思いますが、これまた価格が違いますよね。つまり、どれとも被ってないですね(画像10)。

画像10。RAPIROにさまざまなポーズを取らせてみたその2

--:もしかしたら、教育用途で価格帯的に見ると「レゴ・マインドストームEV3」が意外と近いかも知れません。スペック的にもARM9プロセッサを載せていて、Linuxを搭載しているという。ただ、あれはいうまでもなくインテリア的なデザイン性はあまりないですし、教育用教材という点でも、RAPIROが作るという感じだとしたら、EV3は組み立てるという感じなわけですから、対象年齢も結構変わってきますよね

石渡氏:まぁ、どこかと競合するというよりは、RAPIROは選択肢の1つとしてあるという感じですね。

--:既存のホビーロボットと比較すると、RAPIROは非常に低価格なわけですが、もっとそのぐらいの価格帯でロボットがいろいろと出てくるといいのですが

石渡氏:余談になってしまうかも知れませんが、現在は大手のオモチャ・ホビーメーカーでは、RAPIROのような数万円レベルの企画ですらなかなか通らないそうです。例外もないわけではないですけど、不景気の影響が大きくて、だいたい高くても5000~6000円が限界らしいんですよね。その価格帯で売れるものに企画を落とし込んでいかないと、企画そのものが通りにくいらしいんですよ。

ですので、RAPIROも本当は1万円を切れればいいんですけど、12個のサーボを含めて1万円を切るのはさすがに難しかったですね。こんな状況ですから、例えばタカラトミーの「i-SOBOT」も新機種が出るというウワサは聞いていますが、実際にはなかなか出てきません。ホビーロボットはやはり安価でも何万円、しっかりしたものだと十数万円する高級ホビーなので、大ヒットさせるのはなかなか難しい分野です。アニメで見るロボットを実際に自分で動かせたらいいなと思う子どもも大人も多いし、実際に出たら買うという人もいると思いますが、なかなか難しいですね。かといって、プラモデルにサーボを組み込んでロボットにしてしまうなんて遊び方は技術力がとてもいるので、できる人は圧倒的に限られてしまいますし。

--:プラモデルにサーボを組み込むというのは本当に手に技術のある、一部の人しかできないかと思いますが、自分でがんばって外装パーツを作ってRAPIROのオリジナリティを追求するという楽しみ方ならそれほど難しくはないので、そういう遊び方が流行るかも知れませんね

石渡氏:そうですね。もしRAPIROが流行ることがあれば、大手のキャラクターを持っているメーカーもこの分野に進出してきてくれる可能性を期待できそうですし。

--:ユーザーのイマジネーション次第で自由に改造できて、いろいろと自分なりに手を加えられますよ、自分なりの使い方ができますよとなると、RAPIROにはプラットフォームという側面もあるというわけですね。そうなると、石渡さんが想像していないような使い方をユーザーが考え出してくれるかも知れません。

石渡氏:そうなってくると嬉しいですね。

--:年末はKIROBOが国際宇宙ステーションで若田光一宇宙飛行士と実証実験を行いますから、小型のヒト型ロボットにフォーカスが当たりそうです

石渡氏:そうですね。まぁ、KIROBOは買えませんが、こうしたロボットをほしいと思ってくれる方が増えるのではないかと期待しています。それに、ここのところロボットキットの新製品はあまり出ていませんでしたからね。

--:ホビーロボットのブームも去って久しくて、マイナビニュースで掲載してるロボット関連の話題も、ヒト型じゃないものが多いです。もちろん、ホビーロボットの新作情報とかはそう多くはないのが現状です。なので、RAPIROが活性化してくれればと思いますね

石渡氏:そうですね(画像11)。

画像11。RAPIROの横から。実は、展示会から戻ってくる際に、運送業者が投げたらしくて、ランドセル部分が破損している