Texas Instruments(TI)は7月5日、簡単かつ低価格でBluetooth/Wi-Fiの複雑なペアリング作業を解消するダイナミックNFCタグ「RF430CL330H」を発表した。また、組み込みプロセッサ製品によるNFC開発を簡素化するNFCトランシーバファミリ「TRF79xx」向けの標準ライブラリであるNFCLinkソフトウェアも同時に発表した。

「RF430CL330H」は、プリンタ、スピーカー、ヘッドセットおよびリモコンの他、ワイヤレスキーボード、マウス、スイッチおよびセンサなどの様々な製品で使用されるBluetoothおよびWi-Fi接続に、低価格で簡素化されたペアリングプロセスを提供する。

ワイヤレスのNFCインタフェースと有線のSPI/I2Cインタフェースを組み合わせたデバイスで、NFCタグ、Type4デバイスに分類され、ホストとデバイス間を接続する。

データコンテンツはホストから同製品のSRAMに動的に移され、その後にNFCインタフェース経由で転送される。また、SPI/I2Cシリアル通信インタフェースを統合し、SRAM内に格納されたNFCのNDEF(NFC Data Exchange Format)のメッセージの読み出しおよび書き込みを実現している。RF(高周波)によるデータ伝送は、最大848KB/秒の高速データレートをサポート、無線によるファームウェアのアップデートを迅速に実現する。加えて、ISO 14443Bに準拠したRFインタフェースを内蔵し、NDEFメッセージのアクセスを実現している。この他、スタンバイ時電流が4μAであるのと同時に、NFCのRFフィールドを検知し、ホストのウェークアップ機能を提供、セミパッシブパッシブ双方の動作が可能なため、電池動作時間を延長できる。

一方のNFCLinkソフトウェアは、市場実績が豊富なStollman E+VおよびKroneggerの各社との協働によって実現した。開発各社は、TIのマイコン「MSP430」、ARM Cortex Mマイコン「Tiva C」シリーズ、およびARM Cortex Aプロセッサ「Sitara」を使って、NFCトランシーバ「TRF79xx」向けのNFCアプリケーションを迅速、かつ簡単に作成できる。

また、顧客各社にモジュール化されたファームウェアライブラリスタック群を供給し、NFCフォーラム動作を完全サポート、もしくはプロトコルや動作モードなどの必要な部分のみをサポートして自社製品を簡単に特化できる柔軟なソリューションを提供する。OSは、Windows8/7、Linux、Androidなどをサポート。さらに、Stollman E+Vから、市場で豊富な実績があるソフトウェアスタックを提供される。各種OS上で実行されるNFCアプリケーションとしては、POS(ポイントオブサービス)デバイス、ルータ、セットトップボックス、車載向けインフォテインメント、その他の多様な民生向けデバイスがある。今後、TIの他の組み込みプロセッサプラットフォームもサポートする予定。

なお、価格は「RF430CL330H」が1000個受注時で0.85ドル。ターゲットボード「RF430CL330HTB」を付属すると19ドル。「RF430CL330HTB」および実験ボード「MSP-EXP430FR5739」が付属したバンドル評価ソリューションのダイナミックNFCタグ評価キットは、TI eStoreにて54ドルで購入が可能なほか、NFCLinkソフトウェアはTIのWebサイトからダウンロードすることで入手可能となっている。