ポーラ化成工業は6月24日、加齢とともに真皮線維芽細胞が持つ代謝システムである「オートファジーサイクル」が停滞することを発見したこと、ならびに同システムの停滞改善作用を持つ素材を発見したことを発表した。

同成果の詳細は「第27回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)南アフリカ・ヨハネスブルク大会」ならびに「第10 回オーストラリア皮膚科学会」にて発表された。

オートファジーサイクルは、細胞が持つ代謝システムの1つで、細胞の中で、古くなったタンパク質やミトコンドリアなどの不要なものを膜で隔離した後、膜内部の包み込まれたものを分解し、再生のための原料を供給する代謝システムで、近年、がんやアルツハイマー病などの疾患との関係が示唆されるようになってきたが、肌のハリや弾力を生み出す真皮での役割はほとんどわかっていなかった。

オートファジーサイクルの流れ

そこで今回の研究では、まず加齢によるオートファジーサイクル停滞の仕組み解明に向け、各年代の女性の皮膚に存在している真皮線維芽細胞を観察し、オートファジーサイクルの状態を調査した。

60歳女性の皮膚に存在する真皮線維芽細胞の電子顕微鏡写真。右下は白枠内の拡大像、矢印はオートファジーサイクル途中の構造物

この結果、年齢とともにオートファジーサイクルが停滞し、不要なものを包み込んだ膜構造物が蓄積していくことが判明し、それによりコラーゲンなどの真皮を形作る成分の産生低下を引き起こすことが確認されたとする。

加齢によるオートファジーサイクルの変化

また、試薬を用いて人為的にオートファジーサイクルの停滞を引き起こした真皮線維芽細胞では、細胞のエネルギー産生に必須の物質であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の産生が低下することも判明した。

オートファジーサイクル停滞によるNADH量の変化(n=3、*:p<0.05 (対応のないt検定))

これらの結果から同社では、こうした停滞作用を改善させる機能を持つ素材の探索を実施。最終的に、年齢を重ねてオートファジーサイクルが停滞した真皮線維芽細胞に、ユキノシタ科アジサイ属の植物で葉は甘茶の原料として使われることで知られるアマチャのエキスを添加し、オートファジーサイクルのスムーズさをあらわす「オートファジー完遂度」を調べたところ、アマチャエキスがオートファジーサイクルの停滞を改善する作用を有することを確認したとする。

アマチャエキスによるオートファジーサイクル改善(n=3、**:p<0.01(対応のないt検定))

同社では、これらの結果を受け、アマチャエキスの活用が年齢を重ねることで起きる肌悩みの解決に貢献することにつながると考えられるとしており、2013年秋に、ポーラより、今回の成果を活用した化粧品を発売する計画としている。