東芝は6月11日、佐賀市が今年度から進める「清掃工場バイオマスエネルギー利活用促進事業」に参画し、同市清掃工場に二酸化炭素分離回収活用システム(CCU:Carbon dioxide Capture and Utilization)の実証試験設備を納入すると発表した。同社によれば、清掃工場での化学吸収法によるCCUの実証試験は国内では初だという。

同事業は、佐賀市清掃工場のゴミ処理過程において発生する排ガスから二酸化炭素を回収し、回収した二酸化炭素を農産物の栽培や藻類の培養等において有効利活用するシステムの構築を目指すもの。これにより、二酸化炭素の大気中への排出削減を図り、地球温暖化対策に寄与するとともに、二酸化炭素を活用する企業が施設の立地を図ることにより地域の活性化に資することを目的としている。

「清掃工場バイオマスエネルギー利活用促進事業」(佐賀市の広報資料より)

今回の促進事業は、佐賀市が取りまとめを行い、東芝と荏原環境プラント、九州電力、一般財団法人 佐賀県環境科学検査協会が参画、2014年度までに二酸化炭素回収実験及び、回収した二酸化炭素の利活用方法の調査を行う予定となっている。

東芝は2009年に福岡県大牟田市に10t/日規模のCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)実験プラントを建設し、二酸化炭素分離回収の実証試験を行ってきたが、そこで得た知見、ノウハウを生かし、小規模の実証プラントを納入。既に実験プラントの設計を行っており、9月までに現地に据え付け、10月からの実験開始を目指す。

佐賀市では、実証試験と合わせ事業性の評価を行い、回収した二酸化炭素を藻類の培養や農作物栽培での活用を検討。同社では今回の実証試験を通して、「ゴミ焼却排ガスからの二酸化炭素分離回収」に関する技術的課題や経済性について検証し、佐賀市に対して商用機の提案を進めていくとともに、CCSの用途拡大を図っていく。