情報通信研究機構(NICT)は、日本時間5月13日から15日にかけて計4回の大規模な太陽フレアが発生し、同時に噴出された強い紫外線やエックス線の影響で地球の電離圏が乱され、短波通信に障害の出る「デリンジャー現象」が東京や沖縄、北海道稚内で観測されたと発表した。

人工衛星SDO(NASA)で観測された太陽画像(左:可視光、右:紫外線)
(提供:情報通信研究機構)

今回の太陽フレアの規模は、放出するエックス線の強度による5等級(小さい方からA・B・C・M・X)のうち、通常の100倍以上も大きなXクラスで、4回のうちでも14日午前9時58分に発生したものが特に大きかった。

発生場所は、太陽面の地球から見て左端だったので、大量のコロナガスの噴出方向が地球に向いていなかった。しかし、太陽フレアを引き起こした活発な黒点群は、太陽の自転とともにおよそ1週間後には地球に対面し、引き続きフレア発生の可能性があるので、今後2週間ほどは漁業・航空無線や人工衛星、GPS(汎地球測位システム)などの障害、磁気嵐による送電線などへの影響に注意が必要だという。

Xクラスの太陽フレアは昨年1年間で7回起きたが、今回は48時間のうちに4回もの太陽フレアが発生した。太陽活動は約11年の周期で活発化と沈静化を繰り返し、現在は「第24太陽活動サイクル」(2008年1月ごろに開始)に当たり、ちょうど今年5月が黒点数が最大になる「極大期」と予想されている。

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